経済
2024年11月27日 11時19分

バイデン大統領の肥満症薬保険適用提案がトランプ次期政権でどうなる?

バイデン大統領の肥満症薬保険適用提案とトランプ次期政権の影響

バイデン米大統領は、デンマーク製薬大手ノボノルディスクの「ウゴービ」などの肥満症治療薬に対し、公的医療保険「メディケア」と「メディケイド」の適用を拡大する提案を発表しました。この提案が実現すれば、最大700万人の米国民が肥満症治療薬を利用できるようになり、自己負担額を最大95%削減できる可能性があります。肥満症は米国で深刻な健康問題となっており、この提案は多くの患者にとって福音となるでしょう。しかし、この動きはトランプ次期政権の支持を得る必要があり、その実現には課題も予想されます。

肥満症は米国における主要な健康問題の一つであり、2型糖尿病や心臓疾患などのリスクを高める要因として広く認識されています。バイデン大統領の提案は、GLP-1受容体作動薬という新しいクラスの薬の保険適用を拡大することで、これらのリスクを軽減することを目指しています。しかし、これにはトランプ次期政権の支持が必要であり、トランプ氏が厚生長官に指名したロバート・ケネディ・ジュニア氏は、薬による解決よりも健康的な食事を通じた肥満対策を重視する考えを示しており、政策の実現には不透明な部分も残ります。

トランプ次期政権と広告産業への影響

トランプ次期政権は、広告産業にも大きな影響を及ぼす可能性があります。米DIGIDAYのエディターたちは、新政権がメディアやマーケティング業界に与える波及効果について議論しました。特に、ロバート・ケネディ・ジュニア氏が製薬会社の広告を禁止するよう求めていることが注目されています。これは、肥満症薬の保険適用拡大とどのように関連するのか、業界は慎重に見守っています。

また、トランプ政権の規制緩和政策が企業にとってどのような意味を持つのかも議論されています。一部の企業は、バイデン政権の消費者寄りの政策が負担となっていたと感じており、規制が緩和されることで自社の利益を追求できると期待しています。しかし、このような政策が実際に消費者にとって有益であるかどうかについては、意見が分かれています。

インテルへの補助金決定と半導体産業の未来

一方で、米商務省は、インテルに対する78億6000万ドルの補助金を最終決定しました。この補助金は、アリゾナ州、ニューメキシコ州、オハイオ州、オレゴン州での製造プロジェクトに活用され、米国国内での半導体生産を強化することを目的としています。これは、2022年に制定された「CHIPS・科学法」に基づく施策であり、国内生産の増強を目指す米国の戦略の一環です。

インテルの補助金決定は、米国が半導体の国内生産を強化し、国防や経済の安定を図るための重要なステップです。特に、国防総省との契約に基づくこの補助金は、半導体産業が国家安全保障にとって重要な位置を占めていることを示しています。しかし、これに伴う利益率の悪化や人員削減などの課題も指摘されており、将来的な産業の成長には慎重な対応が求められます。

まとめると、バイデン大統領の肥満症薬の保険適用提案、トランプ次期政権の影響、そしてインテルへの補助金決定は、それぞれが米国の医療、広告産業、半導体産業における重要な変化を示しています。これらの動きは、政策がどのように経済や社会に影響を与えるかを示す一例であり、今後の展開に注目が集まります。特に、肥満症薬の保険適用拡大は健康問題への対応として期待される一方で、トランプ政権の政策がどのようにこれをサポートするかは不透明です。また、インテルへの補助金は、米国がグローバルな半導体競争においてどのような位置を占めるかを示す重要な指標となるでしょう。

[山本 菜々子]