能登地震から1年、もとやスーパーの復興が希望の光
能登地震から1年:「二重被災」と地域の復興への歩み
石川県輪島市町野町にある「もとやスーパー」は、1年前の能登地震と、その後の豪雨による二重の被災にもかかわらず、今年も元日から営業を再開しました。地域の唯一のスーパーとして、多くの住民にとって欠かせない存在となっており、その復活は地域の希望の光となっています。
昨年の元日、能登半島を襲った地震は、多くの家族の生活を一変させました。停電や断水の中、もとやスーパーは休まず営業を続け、地域の人々に食料や水を提供しました。その後、9月に豪雨で近隣の川が氾濫し、店舗の1階部分が水没するという追い打ちを受けましたが、全国からのボランティアの力を借りて、わずか2か月後の11月末には営業を再開しました。
復興への道のりと地域の支え
このスーパーの再開は、地域の復興の象徴ともいえる出来事です。仮設住宅に住む田村幸子さん(76)は、「ここは地域にとってなくてはならない存在」と語り、復興の進展を心から喜んでいます。地域の人々が再び集まり、賑わいを取り戻すことを願ってやみません。
しかし、現実はまだ厳しい状況が続いています。地震と豪雨の影響で、県内では未だ多くの道が通行不能であり、約700戸で断水が続いています。公費解体が終わった家屋は全体の4割にとどまり、人口減少と生業の再建という課題も残されています。
阪神大震災の教訓を伝える建築家、野崎隆一さんは「新しいまちに住み続けるという決意は、住民同士の話し合いの中で生まれる」と指摘します。行政が用意する住宅や集会所といった「器」に、住民が意見を出し合い、納得しながら「器」を一緒につくるプロセスが重要だと語ります。
見えない活断層と地震のリスク
一方で、能登半島地震の原因となった活断層は、政府の地震調査委員会の評価の対象外であったことが明らかになりました。専門家によれば、能登半島の海域にある活断層は、津波想定のためには知られていたものの、地震評価の対象としてはまだ手が回っていなかったようです。つまり、地震の発生は予測できないことが多く、地震調査委員会も「日本はどこでも地震が起きうる」と警鐘を鳴らしています。
このように、地震のリスクは今後も続く中で、地域の復興と安全対策が同時に求められています。地震評価のためのデータを適切に活用し、住民一人ひとりが防災意識を高めることが重要です。昨今の大阪府北部地震のように、マグニチュード6級でも大きな被害が出ることがあるため、規模に関係なく備えが必要です。
新しい年に向けて
新年の初日の出を迎えた能登半島では、「みんな平和に過ごせるように」との祈りがささやかれています。珠洲市の海岸には、雲の切れ目から新しい年の光が差し込み、未来への希望を感じさせます。
地域の復興が本格的に始まる中、住民たちの努力と協力が試される年となるでしょう。もとやスーパーの本谷一知社長は「新しいものをつくっていくような年にしたい」と語り、地域の新しい未来を切り開く決意を示しています。地域にとってなくてはならない存在として、もとやスーパーはこれからも地域を支え続けることでしょう。
[山本 菜々子]