日本で鳥インフルエンザが拡大、養鶏業界に試練
日本各地で鳥インフルエンザが拡大、農業界に深刻な影響も
2025年の幕開けと共に、日本の養鶏業界は深刻な試練に直面しています。愛知県常滑市と岩手県盛岡市の養鶏場で相次いで高病原性鳥インフルエンザが発生し、合計で26万7000羽以上のニワトリが殺処分されることになりました。この事態は、国内の養鶏場における鳥インフルエンザ発生の今季18例目となり、農業界にとって重大な影響を及ぼす可能性があります。
愛知県常滑市では、年始早々に養鶏場から「ニワトリが通常よりも多く死んでいる」との報告がありました。遺伝子検査で9羽の感染が確認され、県は14万7000羽の殺処分を決定しました。この養鶏場から半径10キロ圏内にある農場のニワトリ約347万羽も搬出が制限され、地域全体の農業活動に制約がかかっています。一方、岩手県盛岡市でも似た状況が発生。1日に「死んだ鶏が普段より多い」との通報を受け、簡易検査で陽性が確認されました。これを受けて、12万羽の殺処分が決定され、半径10キロ圏内の26戸の養鶏場、計490万羽のニワトリの移動が制限されています。
鳥インフルエンザの脅威と予防策の重要性
鳥インフルエンザは、ウイルスが家禽の間で広がることで発生する感染症で、特に高病原性のものは致死率が高く、感染が確認されると迅速な対応が求められます。しかし、このウイルスの拡散は、養鶏業界だけでなく、卵や鶏肉の供給にも影響を与え、さらには価格にも波及する可能性があります。消費者にとっても、鶏肉や卵の価格が上昇すれば、家計への影響は避けられません。
このような状況下で、関係者は感染拡大を防ぐためにさまざまな対策を講じています。消毒作業の強化、移動制限、感染が確認された施設の迅速な閉鎖などが行われていますが、一方で、感染の拡大を防ぐための新たな技術の導入や研究も急がれています。特に、ワクチンの開発や感染を早期に検知するシステムの構築が求められています。
過去の事例から見る現状への教訓
過去には、2004年から2005年にかけて日本国内で鳥インフルエンザが大規模に発生し、その教訓をもとにした対策が現在の防疫体制の基盤となっています。しかし、ウイルスは変異を繰り返し、新たな株が出現するたびに対応が求められるのも事実です。現在の状況は、過去の教訓を活かしつつも、新たな課題に対処する必要があるといえるでしょう。
また、国際的な視点から見ても、鳥インフルエンザは決して日本だけの問題ではありません。グローバルな流通網を通じて、ウイルスは国境を越えて拡散する可能性があり、国際的な協力体制の強化も不可欠です。日本国内での防疫体制の強化と同時に、近隣諸国や国際機関との連携を深めることで、より効果的な感染拡大防止策を講じることが求められています。
[高橋 悠真]