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2025年01月04日 11時11分

歌舞伎座で華麗に幕開け!松竹130周年記念「壽 初春大歌舞伎」

歌舞伎座で幕開け、松竹百三十周年を祝う「壽 初春大歌舞伎」

2025年の始まりとともに、東京・歌舞伎座で「壽 初春大歌舞伎」が華やかに開幕しました。この公演は松竹の創業百三十周年を記念するもので、伝統と革新が交錯する舞台となっています。昼の部、夜の部ともに名作と新作がバランスよく並び、観客を多彩な歌舞伎の世界へと誘います。

曽我兄弟の仇討ち、初春の幕開け「寿曽我対面」

昼の部の幕開けを飾るのは、「寿曽我対面」。鎌倉時代の実話を元にしたこの演目は、初春の祝祭劇として江戸時代から長く愛されてきました。曽我兄弟の仇討ちを描くこの物語は、坂東巳之助が曽我五郎を、中村米吉が初役で曽我十郎を演じ、緊張感と期待感の中で展開されます。巳年生まれの巳之助が五郎役を力強く演じる姿は、まさに新年の始まりを感じさせるものでした。

舞台上での緊張感は、観客席にも伝わり、五郎が工藤祐経に詰め寄るシーンでは、場内は息を呑むような静寂に包まれる瞬間も。坂東新悟や尾上右近ら同世代の若手俳優たちが共演し、彼らの新鮮なエネルギーが舞台を一層引き立てます。

ファンタジーの世界へ、「陰陽師」の異世界感

次に上演されるのは、「陰陽師」シリーズからの「大百足退治」と「鉄輪」。夢枕獏による原作小説の幻想的な世界観が、歌舞伎の舞台上で見事に再現されます。松本幸四郎が演じる安倍晴明と中村勘九郎が扮する源博雅は、観客を陰陽師の神秘的な世界へと誘います。特に、尾上松緑が藤原秀郷として大百足との立ち回りを披露する場面は迫力満点で、観客の心をつかみます。

また、松本白鸚が演じる蘆屋道満は、晴明のライバルとして存在感を放ち、物語に深みを加えています。これらの演目は、伝統的な歌舞伎の技術と現代的なストーリーテリングの融合を見事に体現しており、新たな観客層をも引き寄せることでしょう。

封印切、悲恋の物語が心を打つ

昼の部の締めくくりは、「封印切」。亀屋忠兵衛と傾城梅川の悲恋を描いたこの作品は、観客の心に深い余韻を残します。中村鴈治郎と中村扇雀が日替わりで忠兵衛と八右衛門を演じることで、同じ物語でも異なる演技の味わいを提供します。片岡孝太郎が演じる梅川の切なさが、観る者の心を静かに打ちます。

新作「大富豪同心」で見せる、新たな歌舞伎の魅力

物語は、シリアスな場面と和やかな場面が巧みに交錯し、観客を飽きさせません。特に、尾上右近が演じる太鼓持ちの銀八が、コミカルな演技で場を盛り上げ、まるで観客と一緒に愉快な宴に参加しているかのような気持ちにさせてくれます。何と言っても、最後のダンスシーンでは、会場が一体となって盛り上がり、シリーズ化への期待が高まるのも無理はありません。

歌舞伎の新たな可能性を感じさせる演出や、伝統的なスタイルを守りつつも現代的な要素を取り入れた公演は、これからも多くの人々を魅了し続けることでしょう。新年の幕開けにふさわしいこの公演は、1月26日まで続きます。歌舞伎座でしか味わえない特別な時間を、ぜひ体験してみてください。

[松本 亮太]

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