経済
2024年11月29日 06時40分

中国の社会不安と海外脱出:習近平政権の影響と日中経済交流の課題

中国の政治と社会の揺れ動き:国民の不安と海外脱出の背景

中国は、習近平主席の指導下で数々の政治的、社会的な課題を抱えている。中でも最近注目されているのは、「苛政は虎より猛し」という古いことわざを体現するような、国民を苦しめる政治政策である。こうした政策は、国民の不満を増幅させ、社会不安を引き起こしている。具体例として、中国東北部黒竜江省での白頭山トラによる住民襲撃事件がある。これは一見、自然現象による事故のように見えるが、社会全体の不安定さを象徴しているようにも思える。

中国では、社会報復としての無差別殺傷事件が増加している。これは、政府の監視体制の強化と経済的な困難が複合的に影響している結果とされる。特に若者の間では、「歴史のゴミ時間」という言葉が流行しており、社会の不可逆的な悪化に対する深い失望感を表している。このような背景から、多くの中国人が海外への脱出を試みており、その数は2022年には31万人を超えたと国連は報告している。彼らが選ぶ移住先として、治安の良さや生活のしやすさから日本が人気を集めている。

一方で、日本における在日中国人の増加は、新たな社会的課題を生んでいる。彼らのコミュニティが急拡大する中で、無資格者による不動産取引や「白タク」などのグレーゾーン行為が問題視され始めている。さらに、日本の医療制度の利用に関しても、批判の声が高まっている。これに対し、在日中国人の中には、日本の文化や生活習慣に対する不満も少なくない。これらの状況は、日中間の新たな摩擦の火種となる可能性がある。

日中の経済交流と安全保障:新たな展望と課題

こうした中で、日本と中国の経済交流が再び注目を集めている。関西財界の訪中団は、中国の何立峰副首相と面会し、経済交流を活性化することを確認した。この訪問は、12年ぶりであり、2025年の大阪・関西万博の成功に向けた協力体制の構築も含まれている。中国経済が停滞する中で、日本からの投資を呼び込むことが双方にとって「ウィンウィン」の関係を築く鍵となる。しかし、邦人の安全確保という課題も依然として残されており、何氏はその重要性を強調している。

この訪中は、日中間の経済協力を再び活性化させる可能性を秘めているが、同時に国民感情や政治的背景が影響を及ぼす可能性もある。特に中国国内の政治的緊張が高まる中で、日本企業がどのようにして中国市場での安全と発展を両立させるかが問われている。

トランプ政権の影響と日本の自動車産業の未来

一方で、米国ではトランプ次期政権がEV(電気自動車)関連の補助金制度を廃止する可能性が高まっている。これは、EV市場に依存する自動車メーカーにとって大きな打撃となる。特に、日本の自動車メーカーにとっては、米国市場でのシェア確保が難しくなる可能性がある。トヨタの豊田章男会長の予測通り、EV市場のシェアが最大でも3割程度にとどまる可能性が浮上している。

さらに、共和党が支配する州では、EV関連の雇用が経済に貢献しているため、補助金の廃止は地元経済に悪影響を及ぼす可能性がある。したがって、トランプ政権下での政策変更が、米国内外の自動車産業に与える影響は計り知れない。日本の自動車メーカーは、この変化にどう対応するのかが今後の焦点となる。

全体として、中国の社会不安と海外脱出、日中の経済交流の再開、そして米国の政権交代による自動車産業への影響は、グローバルな視点で見るとき、相互に関連し合い、複雑な影響を及ぼしている。これらの動向を注視し、適切な対策を講じていくことが、各国の企業や政府に求められている。

[松本 亮太]