Mattや猪狩蒼弥が語る「叱ること」の難しさと進化
叱ることの難しさと現代の若者たち
現代の日本社会において、叱ることの難しさが話題になることが増えてきました。この背景には、価値観の多様化とともに、コミュニケーションの変化が影響していると考えられます。最近放送された「踊る!さんま御殿!!」でそのテーマが取り上げられ、タレントのMattやHiHi Jetsの猪狩蒼弥らが自身の経験を語りました。これを通じて、叱ることの重要性とその変容について考えてみましょう。
Mattと教師の対立から見えるもの
桑田真澄氏の息子であるMattは、学生時代に教師と衝突した経験を語りました。Mattは、これまで父親から叱られたことがないため、初めて教師に叱られた際に戸惑い、最終的には教師の胸ぐらを掴むという事態に発展したと言います。このエピソードは、一見すると暴力的行動として映りかねませんが、彼の中での「叱られる」という経験の欠如が原因であるとも考えられます。
この話から見えてくるのは、親や教師などの大人がどうやって子どもを導くかという課題です。特に著名人の子供であるというプレッシャーから、周囲が必要以上に遠慮しがちな環境に置かれることが、子どもにとっては逆に負担となり、正常な叱られ方を学ぶ機会を奪っている可能性があります。
猪狩蒼弥と2つの世代の葛藤
一方で、HiHi Jetsの猪狩蒼弥は、叱られることの重要性を訴えつつも、現代の若者ならではの感覚を披露しました。彼は、エンターテインメント業界における叱り方の多様化や、絵文字を活用したコミュニケーション方法が若者にどのように受け取られているかを説明しました。
猪狩の主張の背景には、デジタルネイティブ世代特有の「叱られることへの感受性」があります。彼らは、メールやSNSといったオンラインでのやりとりを日常的に使いこなし、そこでの言葉遣いや表現に非常に敏感です。特に句読点や絵文字の選び方ひとつで、メッセージの受け取り方が変わることを理解しています。これに対して、青学大の原晋監督が「はき違えている」と進言したことは、古い世代と新しい世代の価値観のぶつかり合いを象徴しています。
叱り方の進化とコンプライアンス
番組内では、叱ることに対する新たなアプローチも紹介されました。たとえば、指導者である内村周子が、ポジティブな叱り方を提案し、スタジオから拍手を受けました。このような叱り方の進化は、コンプライアンスの観点からも重要視されています。
近年、職場や教育現場でのパワーハラスメントが問題視される中、叱る側は慎重に言葉を選ぶ必要があります。メールやLINEでのやりとりでも、文面がどのように受け取られるかを考慮し、「呼び捨てにしない」「下の名前で呼ばない」といったルールが生まれています。これにより、叱ることが単なる指示や批判ではなく、相手の成長を促すものであるべきだという認識が広がっています。
新しいコミュニケーションの時代へ
現代の社会では、叱ること自体が変化しています。若者たちは、オンラインでのコミュニケーションを通じて、言葉の選び方やその影響力について敏感になってきています。これに対して、従来の方法に固執することなく、柔軟に対応していくことが求められています。
このように、叱ることは単なる上下関係を示すものではなく、相互の理解を深めるための一つの手段として捉え直されつつあります。新しい時代に合った叱り方を模索することは、個人の成長だけでなく、組織や社会全体の発展にもつながるでしょう。
[田中 誠]