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2024年11月29日 07時08分

藤井聡太竜王 vs 佐々木勇気八段、第37期竜王戦第5局の行方は?

藤井聡太竜王と佐々木勇気八段の激闘:第37期竜王戦第5局の行方は?

将棋界の注目を集める第37期竜王戦七番勝負は、藤井聡太竜王(22)が4連覇を目指し、佐々木勇気八段(30)の挑戦を受けています。和歌山市「和歌山城ホール」で行われた第5局の1日目は、持ち時間8時間の2日制で進行し、午後6時過ぎに佐々木八段が50手目を封じて終了しました。2勝2敗のタイで迎えたこの局は、両者にとって重要な一戦となっています。

封じ手の戦略と雁木の選択

佐々木八段は後手を選び、雁木(がんぎ)という戦法を採用しました。この戦法は、経験が問われる特殊な局面が多く、スペシャリストである佐々木八段の選好が見られます。藤井竜王も先手から積極的な動きを見せ、難解な中盤戦に突入しました。ここまで両者が先手番で勝利を収めており、白熱した対局が続いています。

雁木は、かつては一部の棋士にしか使われなかった戦法ですが、最近ではその多様な展開が見直され、トッププロの間でも頻繁に用いられるようになっています。佐々木八段がこの戦法を選んだ背景には、藤井竜王の豊富な研究に対抗するための準備と、自身の得意とする局面を作り出す狙いがあったと考えられます。

第4局での圧勝と第5局への意気込み

直前の第4局では、佐々木八段が圧勝を収め、藤井竜王は2日目の午後4時前に早々と投了しました。この勝利は、佐々木八段にとって大きな自信となり、第5局への勢いを与えたことでしょう。前夜祭での挨拶でも、佐々木八段は少年から「第4局の構想が素晴らしかった」と称賛され、その言葉を胸に再び素晴らしい将棋を目指すと語っています。

一方、藤井竜王も「第5局から改めて“三番勝負”という形になったので、気持ちを新たに盤上に集中して、2日間全力を尽くしたい」と意気込んでいます。彼のプレッシャーは計り知れませんが、それを跳ね返す精神力と実力を持っていることは、これまでの数々のタイトル戦で証明されています。

AIが示す形勢判断と持ち時間

ABEMAの「SHOGI AI」では、50手目の封じ手の時点で両者ほぼ互角の形勢を示しています。藤井竜王は残り時間3時間59分、佐々木八段は4時間32分と、持ち時間にも若干の差があります。この時間差が2日目の対局にどのように影響するのかも大きな注目ポイントです。

持ち時間の管理は、特に終盤戦での正確な読みと判断力を要求される将棋において、勝敗を左右する重要な要素です。藤井竜王がやや持ち時間で劣る状況で、どのように時間を使い攻防を繰り広げるのか、対局の見どころの一つです。

竜王戦は、将棋界の最高峰とされる戦いであり、タイトルの重みも特別です。藤井竜王が4連覇を達成すれば、その偉業は将棋史に輝かしい記録を刻むことになります。一方、佐々木八段にとっては初のタイトル挑戦であり、ここで勝利を収めれば一躍名を馳せることになるでしょう。

この第5局は、両者にとって非常に重要な意味を持つ一局であり、28日には夜までに決着がつく見込みです。どちらが勝利を収めるのか、ファンのみならず将棋界全体が固唾を飲んで見守っています。

竜王戦の結果は、将棋界の勢力図を大きく変える可能性を秘めています。藤井聡太竜王の4連覇が実現するのか、佐々木勇気八段が新たな王者として名を刻むのか、歴史的な一戦の行方を見逃せません。どちらが勝利を手にするのか、将棋界の未来を占うこの対局の結果に期待が高まります。

[松本 亮太]