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2024年11月24日 07時20分

AIエンジニア安野貴博氏が語る、SNSとフェイクニュースの影響力と未来のAI活用

AIエンジニア安野貴博氏が語るフェイクニュースと選挙におけるSNSの影響

AIエンジニアの安野貴博氏(33)は、7月の東京都知事選に無所属で立候補し、15万票を獲得した。彼は、10月24日のNHK「日曜討論」に出演し、SNSが選挙に与える影響やフェイクニュースの脅威について語った。安野氏は、選挙とSNSの関係について「今年は転換点だと思っている。影響力が明らかに強くなっている」と述べ、SNSが選挙戦における重要な要素であることを強調した。

安野氏は自身の都知事選での経験を振り返り、「既存メディアでは取り上げられなかったが、SNSを駆使することで15万票を獲得できた」と述べた。この経験は、SNSが情報発信の場としてどれほど強力であるかを示している。また、「選挙のやり方として、これまでは主に街頭演説や既存メディアを通じた『地上戦』が主流だったが、今ではネットを活用した『空中戦』に注力する必要がある」と指摘した。

フェイクニュースと情報リテラシーの重要性

SNSの普及に伴い、フェイクニュースの拡散が大きな問題となっている。安野氏は「自分はうその情報や画像を見抜けると思わないほうがいい」と警鐘を鳴らし、「複数の情報源を比較し、何が本当かを考えることが重要」と述べた。また、技術の進化により、ディープフェイクのような偽情報がより精巧になり、見分けが難しくなることを指摘した。こうした背景から、情報の正誤を見極める力、すなわち情報リテラシーの向上が求められている。

フェイクニュースの問題は選挙だけでなく、日常生活にも影響を及ぼす。安野氏は「情報が出た際には、異なるメディアでの報道や相反する意見を探しに行くことが必要」と述べ、情報の多角的な視点を持つことの重要性を強調した。これにより、偏った情報に惑わされることなく、より客観的な判断ができるようになる。

AIと学習の新たな可能性:台湾での事例

一方、AIを活用した新たな学習法が注目を集めている。Xでバズった“22世紀の勉強法”では、台湾に留学中の学生がAIを利用して効率的に学習する方法を編み出した。彼はプログラミング言語Pythonを使って過去問を解析し、効率的に試験対策を行うことに成功した。また、AIを使って外国語の単語を覚える効率を上げるなど、AIの力を最大限に活用している。

このようなAIの活用に対し、安野氏は「AIは非常に強力なツールだが、時に誤った情報を提供することもある。そのため、AIの出力をそのまま鵜呑みにせず、自ら裏付けを取ることが重要」と述べた。AIの利便性を享受しつつも、批判的思考を持つことの重要性を指摘した。

未来に向けたAI活用の方向性

AIの進化は、学習方法や情報の取得方法に革命をもたらしている。しかし、その一方でフェイクニュースや情報の信頼性の問題も浮上している。安野氏は、AIとSNSの影響力が強まる中で、私たちがどのように情報を受け取り、活用するかが問われていると指摘する。

SNSとAIは、情報を迅速かつ広範に届ける力を持つが、同時に誤情報を拡散するリスクも伴う。これからの時代においては、技術を活用する一方で、情報の精査能力を高める必要がある。情報リテラシーを持ち、AIの出力を批判的に評価することで、私たちはより健全な情報環境を築くことができるだろう。

これらの課題に対処するために、教育機関やメディア、企業が協力して情報リテラシー教育を推進し、AI技術の透明性と信頼性を高める取り組みが不可欠である。安野氏の指摘は、技術革新の中で私たちが直面する課題とその解決策を考えるための重要な示唆を与えている。

[田中 誠]