キア「EV9 GT」、ロサンゼルスモーターショーでデビュー
キアの新たな電動SUV「EV9 GT」、ロサンゼルスモーターショーでデビュー
2024年11月21日、ロサンゼルスモーターショー2024は、キアの最新かつ最強の3列シートSUVである「EV9 GT」の発表で幕を開けた。この新型EVは、キアがこれまでに生産した中で最も強力な3列シートSUVであり、同社の電動車両ラインアップに新たな一歩を刻むものとなっている。
EV9 GTは、フロントとリアに搭載されたデュアル電気モーターによって501hpを発揮し、0-96km/h加速をわずか4.3秒で達成するという驚異的なスペックを誇る。これにより、パフォーマンス面での革新を象徴するモデルとなっている。さらに、キアとして初めて電子制御サスペンションを採用し、走行モードやステアリングホイールのGTボタンを通じてショックダンピングを調整できる機能を備えている。この技術革新により、ドライバーは運転スタイルに応じた最適な乗り心地を享受できる。
デザインと充電技術の進化
EV9 GTのデザインは、外装と内装の両方で他のEV9シリーズと差別化されている。外装には21インチの専用アルミホイールや、ネオングリーンのブレーキキャリパーといった独自のデザイン要素が取り入れられ、内装ではアルカンターラスエードのインサートを施したスポーツシートとGTロゴが特別感を演出している。
また、EV9 GTは800ボルトの急速充電アーキテクチャを採用しており、DC急速充電器を使用した場合、10-80%の充電をわずか25分以内で完了することが可能だ。この充電技術は、電動車への移行を促進する重要な要素となっている。さらに、2025年前半から生産されるEV9には、北米充電規格(NACS)充電ポートが標準装備される予定で、米国内の約3万5000基のDC急速充電器へのアクセスを容易にする。
キアの未来を見据えた戦略的な展開
キアは、EV9 GTの登場だけでなく、ロサンゼルスオートショー2024で多様な新型モデルを発表する計画も明らかにしている。中でも注目されるのは、米国仕様の「スポーテージ」のティザーイメージ公開と、新型EV6の登場が予想されることだ。スポーテージは、内燃機関、ハイブリッド、プラグインハイブリッド、電気駆動といった複数のパワートレインを備え、消費者の多様なニーズに応える設計が期待されている。
さらに、キアは2027年までに少なくとも14台の電気自動車を市場に投入する予定であり、その中には「EV2」などのコンパクトな電動クロスオーバーも含まれている。EV2は、ヒョンデモーターグループが開発した「E-GMP」プラットフォームの低コスト版を使用する予定で、最大航続距離は400kmを超えると予想されている。この数値は、同クラスの競合車種であるMINI「エースマン」を凌駕するものであり、電動車市場におけるキアの競争力を示すものだ。
電動車市場の未来を切り開くキアの挑戦
キアの電動車戦略は、単なる技術革新だけでなく、デザインやユーザーエクスペリエンスの向上をも重視している。EV9 GTのような高性能モデルから、EV2のようなコンパクトクロスオーバーまで、幅広いラインアップを展開することで、同社は異なる市場セグメントに対応し、電動車市場でのプレゼンスを強化しようとしている。
今後、キアがどのようにして電動車市場でのシェアを拡大し、持続可能な移動手段の提供を進めていくのか、その動向が注目される。電動車市場における競争が激化する中で、キアの技術革新とデザイン戦略がどのように消費者の心をつかむのか、今後の展開が期待される。
[佐藤 健一]