トヨタ「スープラA90ファイナルエディション」発表:歴史の終焉と新たな未来へ!!
トヨタ「スープラA90ファイナルエディション」:歴史の終焉と新たな始まり
2025年春、トヨタはその長い歴史を誇るスープラの一つの章を締めくくる「スープラA90ファイナルエディション」を、日本国内と欧州で限定300台のデリバリーを開始する予定です。この新たなモデルは、スープラがこれまで築き上げてきたモータースポーツ界での名声を体現すると同時に、次なるステージへの橋渡しとなります。
スープラの進化とその意義
スープラは1986年、「トヨタ3000GT」としてスープラの名を初めて冠したモデルから始まりました。当時のスープラは、トヨタ2000GTの名を引き合いに出すことで、そのスポーツ性を強調しました。この時代背景には、セリカがFWD化されることで、FRのスポーツカーとしてのスープラの存在意義が強調されたという事情があります。スープラはセリカやソアラと共通のメカニズムを持ちながらも、独自の進化を遂げ、リトラクタブルヘッドライトや流麗なスタイルで人々を魅了しました。
スープラA90ファイナルエディションは、こうしたこれまでのスープラの歴史を踏まえつつ、最新の技術を駆使して性能を極限まで高めたモデルです。エンジン出力は435馬力に引き上げられ、トルクも570Nmを誇り、アクラポヴィッチ製チタンマフラーによる迫力のあるエンジンサウンドが響き渡ります。このモデルは、まさにスープラの集大成であり、長年のファンへの感謝を込めた贈り物とも言えるでしょう。
技術の粋を集めたボディとサスペンション
スープラA90ファイナルエディションは、ボディ剛性の向上により、ハンドリング性能を劇的に改善しています。GR Supra GT4で使用されているKW製サスペンションを採用し、16段の伸び側調整と12段の縮み側調整が可能なダンパーにより、さまざまな走行状況に適応できるようになっています。さらに、前後のスタビライザーの強化やピロボールジョイントの採用により、限界性能を大幅に向上させました。
このような進化は、トヨタがモータースポーツを通じて得た知見を活かし、風洞実験施設を用いて空力性能を最適化することで実現されています。スワンネック構造のカーボンリヤウイングやカーボンフロントスポイラーなど、細部にまでこだわりが詰まっています。
内装の豪華さとドライバーへの配慮
内装には、アルカンターラ素材をふんだんに使用したレカロ製カーボンフルバケットシートを採用し、ドライバーの体をしっかりとホールドします。これにより、増加するGフォースに対しても体を安定させ、正確なドライビングをサポートします。ステアリングホイールやドアトリム、シフトノブにもアルカンターラ素材を使用し、特別感を演出しています。
ドライバーオリエンテッドなコクピットに加え、赤色のシートベルトや専用カーボンスカッフプレートが、このモデルがただの車ではなく、特別な存在であることを強く印象付けます。
未来へのステップ
トヨタは同時に、GRスープラの一部改良モデルも発表しました。これにより、スープラはその進化を止めることなく続けていくことを示唆しています。新たなシャーシセッティングや大径化したディスクブレーキ、電子制御ダンパーの見直しなどにより、さらなる一体感のある走りを実現しています。
スープラA90ファイナルエディションは、スープラの歴史における一つの区切りを象徴するモデルであると同時に、次なる進化の予感を抱かせるものであり、トヨタが未来に向けてどのようなスープラを生み出すのか、期待が膨らむばかりです。まるで一つの物語が完結し、新たな物語が始まる瞬間を目の当たりにするような気持ちにさせられます。
[鈴木 美咲]