国際
2024年12月03日 09時30分

米中半導体戦争、TSMCとサムスンの戦略が鍵に!トランプ政権の圧力再燃

米中の半導体大国に再び巻き起こる地政学的嵐

台湾の「N-1」原則も揺れる

台湾国家科学技術委員会の呉誠文主任委員が、TSMCの2ナノプロセス技術が米国でも生産される可能性について言及したことは、台湾の半導体業界にとって大きな衝撃であった。台湾国内の技術は常に海外の工場よりも1ナノ以上先を行くべきという「N-1」原則が、今やトランプ氏の「米国優先主義」の前で揺らいでいる。台湾がその技術的優位性をどう維持し、同時に米国の要求にどう応えるかが問われている。

台湾の半導体業界は、TSMCを中心に世界の供給網の核心を占めている。しかし、トランプ政権の圧力は、台湾がこの地位をどのように守り抜くかという新たな課題を提示している。TSMCの米国工場設立は、地政学的な動きの一環として必然的な流れであるが、台湾が抱える技術流出の懸念もまた深刻だ。

サムスンの新たな挑戦

サムスン電子も、この変化の波に乗り遅れまいと、米国での2ナノプロセスの生産を視野に入れている。テキサス州テイラーに新たに建設中の工場で、当初予定していた4ナノプロセスから2ナノプロセスへの転換を検討しているという。これは、TSMCが米国での生産を加速させるならば、サムスンも同様の対応を迫られるという業界の見方を反映している。

カリフォルニア州の対抗策とDOGEの誕生

一方、米国内ではカリフォルニア州がトランプ政権の政策に対抗するため、訴訟資金を準備していることがニュースとなっている。州議会は2500万ドルの予算を確保し、市民権や気候変動といった多岐にわたる分野での訴訟を計画している。トランプ政権1期目に続く挑戦だが、今回は財政赤字の影響もあり、資金は限られている。

また、トランプ政権が設立を進める「政府効率化省(DOGE)」は、イーロン・マスクとヴィヴェク・ラマスワミらを中心とした組織で、政府の官僚主義を解体し、効率化を図ることを目標としている。これまでの規制の枠組みを超えた大胆な取り組みが期待されるが、同時に政府機関の再編成に伴う失業の懸念も指摘されている。

DOGEの革新と挑戦

DOGEは、政府の非効率性を解消するための大胆な計画を持っている。週80時間の労働を求めるなど、かなりの厳しさが伴うが、志の高い若者たちがその可能性に惹かれている。イーロン・マスクが指導するこのプロジェクトは、テクノロジー業界の視点を政府に取り入れることを目指しており、特にソフトウェアエンジニアや金融分野の人材が求められている。

[高橋 悠真]