経済
2024年12月03日 23時23分

ANA、25年ぶりのミラノ線再開で日伊関係強化を目指す!新たな国際戦略が始動

ANA、25年ぶりのミラノ線再開で日伊関係強化を目指す

イタリアのファッションと美食の都ミラノと日本の玄関口羽田を結ぶANAの新たな路線が、ついに出発しました。12月3日、全日本空輸(ANA/NH)のミラノ発羽田行き初便NH208便が、約25年ぶりにミラノから羽田へと飛び立ちました。この新しい路線は、井上慎一社長が自信を持って「日本とイタリアの両国関係を強くするもの」と宣言し、ANAの国際戦略における重要な一歩を示しています。

ミラノと羽田、文化とビジネスの架け橋

ミラノがファッションの都であることは言うまでもなく、ビジネスの中心地としても知られています。そのミラノと羽田を結ぶこの新路線は、ファッション業界のプロフェッショナルから観光客まで、幅広い需要に応えることが期待されています。ミラノで行われた記念式典では、ANAの井上社長が現地のゲストに手渡したプレゼントが、まるで日伊関係の未来を象徴するかのように、温かい笑顔とともに受け取られていました。

この便が羽田に到着するのは早朝。井上社長は「着後、1日を最大限に使える」と、この時間設定をアピールしています。旅行者にとっては、到着後すぐに東京での一日を楽しむことができるのは大きなメリットです。

新たな国際線戦略の一環としての欧州便拡大

ANAは、ミラノ線だけでなく、来年にはストックホルムやイスタンブールといった欧州の都市への新たな路線も開設予定です。これらの計画は、ANAが新型コロナウイルスのパンデミックからの回復を見据え、インバウンド需要の増加を見込んでのことです。また、アジアや中東、アフリカ方面への乗り継ぎ地点として欧州を位置づけることも視野に入れています。すでに今年はミュンヘンやパリ、ウィーンへの便を増便し、日欧間の週間運航便数で世界首位を誇っています。

欧州便の強化は、国内人口が減少しつつある中で、国際線の重要性が増していることを示しています。ANAホールディングスの2024年3月期連結決算では、初めて国際線の旅客収入が国内線を上回る見通しです。これは、ANAがいかに国際市場に目を向けているかを如実に表しています。

未来を見据えたサービス拡充とパートナーシップ

ANAは、イタリアでITAエアウェイズとの共同運航を開始し、現地の鉄道会社とも提携するなど、サービスの拡充にも力を入れています。将来的には、飛行機で運んだ荷物を電車の終着駅で受け取れるようにするなど、利便性を高める取り組みを進めています。こうした動きは、旅客だけでなく貨物輸送の面でも競争力を高めることができるでしょう。

このように、ANAの欧州便拡大は、単なる路線の追加ではなく、日欧間のビジネスや文化交流の活性化を促進する大きな一歩です。特にミラノ線の再開は、両国の経済や文化に新たな風を吹き込むことが期待されます。ANAの戦略的な動きは、航空業界の未来を占う重要な指標と言えるでしょう。

[松本 亮太]