経済
2024年12月04日 08時30分

トランプ政権、再び中国に圧力!関税戦争の行方は?

トランプ政権再び、中国に迫る圧力の波

2020年、世界は再びトランプ大統領の政策による波乱の渦中にあります。中国をはじめ、メキシコやカナダに対する関税措置が発表され、その影響は国際経済に多大な影響を及ぼしています。特に、中国にとっては、合成麻薬フェンタニルの流入問題や新型コロナウイルスの起源説が絡む複雑な状況が続いています。

トランプ氏が発表した新たな関税政策の背景には、中国によるフェンタニルの供給がアメリカ国内での過剰摂取問題を悪化させているという主張があります。この問題は、アメリカにとって「21世紀版アヘン戦争」とも称され、中国との貿易摩擦を再び激化させています。

合成麻薬フェンタニル問題の影響

フェンタニルは、痛みの治療に使われる医療用麻薬ですが、過剰摂取により毎年多くの命が失われています。この合成麻薬の原材料を供給しているとされる中国に対し、トランプ氏は関税を課すことで圧力をかける意向を示しています。メキシコの麻薬組織がこの原材料を使用し、アメリカに流入させていることが問題の核心です。

しかし、この問題を関税で解決しようとする方法には賛否があります。バイデン大統領も「それは逆効果だと思う」と述べており、国内外での反発が懸念されています。メキシコのシェインバウム大統領も報復関税を示唆しており、貿易戦争が激化する可能性が高まっています。

中国の対応と国内の不安

一方、中国は「フェンタニルの原料に対する統制を既に実施している」と反論しています。しかし、国内では厳格なゼロコロナ政策への反発が続き、社会不安が高まっています。過去2年間のゼロコロナ政策に対する抗議運動「白紙運動」は、政府に対する不満の象徴となっています。

中国政府は、ビッグデータを活用した犯罪予測システムを導入することで治安維持を強化しようとしていますが、根本的な解決には至っていません。公共安全予算は国防予算を上回っており、経済成長の鈍化と相まって政府の財政を圧迫しています。

トランプ政権の人事と通商政策

今回のトランプ政権の人事は、忠臣で固めた「トランプ劇場」の開幕を告げています。経済政策の司令塔としてスコット・ベッセント氏が財務長官に指名され、通商代表部には対中強硬派のジェミソン・グリア氏が起用されています。彼らの役割は、中国を最大のターゲットとして、アメリカの製造業を国内に取り戻すことです。

しかし、丸紅経済研究所の今村卓社長はこの政策に警鐘を鳴らしています。高関税がアメリカ国内の消費者に負担を強いる可能性が高く、製造業の雇用が戻ってくるかは不透明です。トランプ氏の政策は、国内の支持を得るための短期的な成果に焦点を当てているように見えますが、長期的な影響がどうなるかは未知数です。

日本とアメリカの経済関係

日本にとっても、トランプ氏の関税政策は大きな影響を及ぼす可能性があります。特に、メキシコの工場からアメリカに車を輸出している日本の自動車メーカーは、関税によるコスト増加を懸念しています。しかし、日本の経済界は、貿易から直接投資へのシフトを進めており、アメリカでの再投資を通じて関係を強化する方針を掲げています。

トランプ政権の閣僚名簿には、日本とのパイプ役だった人材が含まれておらず、日米経済関係の交渉がどうなるかは注視が必要です。日本企業はアメリカ市場での存在感を維持しつつ、トランプ政権の政策に柔軟に対応する必要があります。

[山本 菜々子]