イタリアで輝く!バレーボール大塚達宣の挑戦と“グイグイ精神”
イタリアでの挑戦、24歳の大塚達宣が見せる“グイグイ精神”
イタリア・セリエAのミラノに新たな挑戦の場を求めたバレーボール日本代表の大塚達宣(24歳)。その背景には、彼の並々ならぬ努力と、母・淳子さんの助言、そして石川祐希の存在があった。新天地での生活は、これまでの常識を覆す試みと、さまざまな感情の波を乗り越える旅路だ。
大塚が選んだ道は、石川祐希というスター選手が昨季まで在籍したミラノ。全てが新しい環境の中で、彼は自らの存在価値を証明しようとしている。イタリアに到着後すぐに、体育館へ直行し、積極的にコミュニケーションを図る姿勢を見せた。その努力は、まるで新しい生徒が教室に馴染もうとする姿のようだ。彼の“グイグイ精神”は、チームメイトたちを驚かせることもあった。「お前、ユウキ(石川祐希)と全然違うな(笑)」と、彼の積極性に感心した声が聞こえる。
母の助言と石川祐希の存在が与えた力
新しい環境に飛び込むことは容易ではない。特に言語の壁や文化の違いは、精神的にも大きな負担となる。大塚もその例外ではなかった。ミラノに来て約2週間後、彼はふとした瞬間に「ちょっと疲れたな」と感じるようになった。そんなとき、彼を救ったのは母・淳子さんの温かいアドバイスだった。
「スーパーでアイスを買う」「泣けるドラマを観て思いっきり泣く」など、彼女の助言は一見シンプルだが、心が軽くなるものばかり。大塚は「楽になりましたね」と感謝の意を示す。母親の言葉が、どれだけ彼の心を支えたかは想像に難くない。さらに、石川祐希の存在も、彼にとって大きな刺激となった。イエージ・カップで対面した石川の立ち居振る舞いは、「ほんまに祐希さんがいるこのリーグに来たんや」という感動を大塚に与えた。
新たなステップへの挑戦と成長
大塚のイタリアでの挑戦は、彼にとって大きな成長の一歩でもある。パリ五輪での経験を経て、彼はより強くなるためにイタリアに渡った。守備面を中心に強化することを考え、アウトサイドのポジションを狙う。彼の目標は、単なる途中出場ではなく、スタートポジションを奪い取ることだ。
「スタートを取りにいく、という気持ちはやっぱり強いです」と語る彼の目には、決して揺るがない決意が見える。ミラノでのポジション争いは厳しい。ベテラン選手やオリンピック金メダリストたちがひしめく中で、彼は日々努力を重ねる。
大塚は開幕に出遅れたものの、第5節のヴェローナ戦でセリエAデビューを果たし、第7節のグロッタッツォリーナ戦で初得点を挙げた。欧州チャンピオンズリーグでも初先発し、勝利に貢献。彼の努力は確実に報われつつある。
新しい選択肢としての海外挑戦
大塚の24歳での海外挑戦は、バレー界に新しい選択肢を提示している。彼の姿は、若い選手たちにとっても希望の光となるだろう。言葉の壁を乗り越え、文化の違いに適応し、自分の価値を証明することは、容易ではない。しかし、彼はそれを可能にしている。
彼がミラノで見せるエネルギッシュなプレースタイルは、チームに新しい風を吹き込んでいる。イタリア人のチームメイトからも「お前はそういうエネルギーをチームに与えてくれるやつだよね」と称賛の声が上がるほどだ。
イタリアでの経験は、大塚にとって自己成長の場であり、バレー界における新しい挑戦の可能性を示すものでもある。彼の“自分らしく”を貫く姿勢は、多くの人々に勇気を与え、次なるステップへの道を切り開いていく。
[山本 菜々子]