国際
2024年12月08日 12時32分

シリア情勢が緊迫!アサド大統領の行方と反政府勢力の進軍が鍵

シリア情勢、歴史的転換点へ:アサド大統領の行方と反政府勢力の進軍

中東の要地シリアが、再び大きな岐路に立たされています。バッシャール・アル・アサド大統領が首都ダマスカスを離れたという報道と、反政府勢力が首都への進軍を開始したという情報が、世界を駆け巡っています。内戦が勃発してから約12年、シリアの政治的地図に新たな変化が訪れようとしています。

シリアの反政府勢力「ハヤト・タハリール・アル=シャーム機構(HTS)」は、11月末に北西部のアレッポを制圧し、勢いに乗っています。その後、中部ハマや南部ダルアー県をも掌握し、ついにはホムスを「完全に解放」したと宣言しました。これに対し、シリア国防省は「テロリストがホムスに入ったという情報に根拠はない」と反論していますが、実際の状況は不透明です。

ダマスカスの戦況とアサド大統領の動向

ダマスカスの状況は、まさに火薬庫のようです。反政府勢力が首都を包囲し、バルゼ地区への進入が確認されています。住民は戦闘の激化に備え、停電やインターネットの不通といった日常生活の混乱に直面しています。米国のシンクタンク「シリア緊急タスクフォース(SETF)」のムアズ・ムスタファ代表は、ダマスカスが近々陥落する可能性が高いと警告しています。

一方、アサド大統領の行方については、さまざまな憶測が飛び交っています。ロンドン拠点のNGO「シリア人権監視団(SOHR)」によれば、ダマスカスの空港から出発したプライベートジェットにアサド大統領が乗っていた可能性があると報じています。政府軍は空港から撤収したとされ、これが事実であれば、アサド政権の内部にも動揺が広がっていることを示唆しています。

国際社会の反応と地域の安定

シリア周辺の国々や地域勢力も、事態の進展を注視しています。シリアに協力してきたイランのイスラム革命防衛隊や、ヒズボラはすでに一部の戦闘員を撤収させています。これらの動きは、シリア政権に対する支援が揺らいでいる可能性を示唆すると同時に、地域全体の安全保障に新たな不安をもたらしています。

シリア内戦の背景と今後の行方

このような背景の中、現在のシリア情勢は、まさに新たな歴史の一ページを刻もうとしています。アサド大統領が首都を去ったという報道が事実であれば、彼の政権はその存続が危うくなっていると言えるでしょう。しかし、シリアの政権幹部は「非常に強力な軍事的包囲網」がダマスカスを守っていると主張し、反政府勢力の進軍を阻止する構えを見せています。

この複雑な状況の中、国際社会はシリアの将来にどのように関与していくのでしょうか。シリア内戦の終焉は、新たな平和の時代をもたらすのか、それともさらなる混乱の幕開けとなるのか。シリアの運命は、まさに風前の灯火のごとく、不安定な状態にあります。

[佐藤 健一]

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