経済
2024年12月08日 13時30分

キダルト旋風!大人がハマるおもちゃ市場の新たな楽しみ

キダルト旋風!大人がハマるおもちゃ市場の新たな風

最近、おもちゃ屋に足を運ぶと「親よりも子供が喜ぶだろう」と思いきや、実は逆、という意外な光景が広がっている。大人たちの目が輝き、懐かしさとともに新しい楽しみを見つける姿がそこにある。この現象の背後には、「キダルト」と呼ばれる新しい消費者層の存在がある。

キダルトとは?

例えば、東京で行われたベイブレード国際大会には30〜40代の参加者が集い、真剣な表情で競い合っていた。25年前に小学生だった彼らが、今や社会人となり、親となって、再びベイブレードに心を奪われている。このような現象は、タカラトミーのようなおもちゃメーカーが大人向けの商品開発に力を入れるきっかけとなっている。

懐かしさと新しさを融合するおもちゃたち

このキダルト現象は、懐かしさと新しさの融合によって成り立っている。例えば、「ガンダムのプラモデル」や「リカちゃん人形」は、子供時代の思い出を呼び起こすが、大人向けに進化を遂げている。トイザらスの店舗では、キダルト向けの商品エリアが拡大し、その購買力が市場を支えている。大人たちは、子供の頃に手が届かなかったものを今手に入れることができ、その経験を共有し、楽しむことで新たなコミュニティを形成している。

コロナ禍がもたらした変化

興味深いことに、キダルト現象の背景にはコロナ禍の影響もある。外出自粛やリモートワークの普及により、自宅で過ごす時間が増えたことで、かつての趣味や遊びを再発見する人が増えた。これが、キダルト現象を加速させた一因となっている。特に、カードゲームやミニ四駆など、かつてのヒット商品に再び光が当たっている。

未来の展望と可能性

おもちゃ業界は、キダルト層の台頭を受けて、ますます多様化していくだろう。メーカーはこのニーズに応えるため、より大人向けに特化した商品を開発し続けている。トランスフォーマーやゾイドのような商品は、細部にまでこだわり、対象年齢も引き上げられている。これにより、より深い没入感を提供し、大人たちの心を掴んで離さない。

また、人生ゲームのような定番のボードゲームも、現代のトレンドを取り入れ、FIRE(早期リタイア)のような要素を加えることで、キダルト層に新たな価値を提供している。お金の単位もドルから円に変更され、時代の変化を反映している。

このように、キダルト現象は単なる一時的なブームではなく、少子化という課題を抱えるおもちゃ業界において、持続可能な成長を支える重要な要素となっている。大人たちが再びおもちゃに夢中になることで、業界全体が活性化し、新たなビジネスチャンスが生まれている。これからも、おもちゃ業界はキダルト層をターゲットにした戦略を強化し、多様なニーズに応えていくだろう。

この現象は、単なる懐古趣味にとどまらず、新しい遊び方や価値を生み出す力を持っている。キダルトたちの遊び心が、次なるイノベーションの扉を開くかもしれない。未来のおもちゃ市場がどのように進化していくのか、ますます目が離せなくなりそうだ。

[田中 誠]

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