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2024年12月09日 06時20分

ランサムウェアとAIの危険な共演:カスペルスキーが警告する未来のサイバー犯罪

ランサムウェアとAIの危険な共演:複雑化するサイバー犯罪の現状

ランサムウェアとAIが、まるで悪のデュオのようにサイバー犯罪の舞台で暴れまわっています。株式会社カスペルスキーが最近行った説明会では、サイバー攻撃の最新動向が明らかにされました。Kasperskyのグローバル調査分析チームのエキスパート、ヴィタリー・カムリュク氏は、ランサムウェアの高騰する要求金額とAIの悪用がどのように犯罪の様相を変えているかを警告しています。

ランサムウェア:増え続ける要求金額

ランサムウェアが初めて登場した約20年前、その要求金額はわずか100ドル程度でした。しかし、現在ではその金額は億単位になることも珍しくありません。2021年には、保険会社CNA Financialがランサムウェアの攻撃に対して4000万ドルもの暗号通貨を支払ったといいます。これがまるで、昔の小さな強盗が今やハイスト映画の主人公になったかのようです。

このような状況の背景には、ゼロデイエクスプロイトツールの利用が挙げられます。これらのツールを手に入れるには高額なコストが必要で、例えば「QakBot」というトロイの木馬が使うゼロデイエクスプロイトのコストは8万ドルから16万ドルに上るとされています。しかし、技術の進化とともに、これらのツールが手ごろな価格で市場に出回るようになり、一般的なサイバー犯罪者でも利用できるようになっています。

AIの悪用:サイバー犯罪の新たなフロンティア

AI技術の進化に伴い、サイバー犯罪の手法も劇的に変化しています。カムリュク氏は、AIが犯罪の効率化に利用されていると指摘します。フィッシングメールの生成からコード生成、さらにはバックドアAIモデルの作成まで、AIが活躍する場面は増加の一途をたどっています。

カスペルスキーの調査によると、2023年のダークウェブ上では犯罪目的でのChatGPTの使用やAIツールに関する投稿が3000件近く見つかりました。フィッシングメールのうち、AIによって生成されたものと特定されたメールの割合は21.3%に達しており、これはまるでAIが「悪の秘書」として犯罪者を支援しているかのようです。

さらに、AIのなりすましは新たな脅威を生んでいます。偽の指導者やインフルエンサーを作り出し、世論を操作することも可能になりつつあるのです。こうした技術が株式市場や政治的な目的で悪用される可能性も指摘されています。

未来のサイバー攻撃:新たな標的と複雑化する構造

今後、ランサムウェアの標的はPCやサーバーにとどまらず、電気自動車やVR、ドローンなど新しいプラットフォームに拡大していくと予想されています。これにより、サイバー攻撃は私たちの生活のあらゆる側面に影響を与える可能性があります。

また、ボットネットの進化やカーネルモードで実行されるマルウェアの進化も懸念されています。AI技術のさらなる悪用が進むことで、サイバー犯罪者の攻撃手法がますます洗練され、特定や防御が難しくなるでしょう。まるで、サイバー犯罪者が未来の兵器を手にしたかのようです。

このような状況下で、私たちはどのようにこの脅威に立ち向かうべきでしょうか。カスペルスキーのカムリュク氏は、セキュリティ対策の見直しと強化が急務であると訴えています。犯罪者がAIの力を借りて次々と新たな手法を編み出す中で、防御策もまたAIを活用して進化させる必要があるのかもしれません。

ランサムウェアとAIのダブルパンチをどう乗り越えるか、それは今後のセキュリティ界の大きな課題となるでしょう。しかし、ひとつだけ確実なのは、どんなに技術が進化しても、最後に勝つのは冷静な判断力と適応力を持つ者だということです。それは、まるでサイバー戦争のチェスゲームのようなものかもしれません。

[中村 翔平]

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