国際
2024年12月10日 09時51分

韓国の政治危機!尹錫悦大統領の弾劾問題と支持率の急落

韓国政治の行方:弾劾劇と支持率の嵐

韓国の政治は現在、激しい嵐の中にある。この嵐の中心には、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の弾劾問題が存在する。与党「国民の力」は、尹大統領の非常戒厳宣言に関連する憲法違反疑惑を巡り、野党からの弾劾訴追案の提出に直面している。しかし、与党の多くの議員が投票を棄権したため、第一ラウンドの弾劾訴追案は廃案となった。

過去の亡霊と現在のジレンマ

与党は、朴槿恵(パク・クネ)元大統領の弾劾という過去のトラウマを抱えている。2016年の朴大統領弾劾時には、与党から60票以上の離脱があったが、今回はさらに激しい支持率の下落に見舞われている。世論調査によれば、「国民の力」の支持率は急降下し、野党「共に民主党」との格差は現政権発足以来最大に広がっている。

混乱する首都と市民の声

一方、ソウルでは市民が尹大統領の弾劾を求める集会を続けている。これに加えて、ソウル交通公社の労働組合が賃金交渉を行っているため、交通の混乱が懸念されている。ソウル市は、タクシーとバスの供給を増やすことで対応しようとしているが、弾劾集会やストライキの影響で市内の交通は依然として不安定だ。

タクシー供給の増加や深夜バスの運行延長は、年末の繁忙期における市民の移動を支えるための措置である。しかし、こうした対策がどれだけの効果を生むかは不透明で、交通状況が悪化すれば市民の不満はさらに高まる可能性がある。

外交に影を落とす国内問題

尹大統領の非常戒厳宣言は、国内政治だけでなく外交面にも影響を及ぼしている。特に日本との関係は、韓国国内の政治的動揺によって微妙なバランスを崩しかねない。来年で国交正常化から60年を迎える日韓関係において、韓国の政治的安定性は重要な要素である。

韓国が国内問題に追われる中で、北朝鮮や中国との関係、そして東アジアにおける安全保障の問題が脇に追いやられる可能性がある。特に、北朝鮮の動向は常に予測不可能であり、韓国が国内の政治的混乱に陥っている間に何らかの行動を起こす可能性も否定できない。

未来への不安と希望

尹錫悦政権がレームダック状態にある中で、韓国政治の未来は不透明だ。与党内では、憲法改正によって大統領任期を短縮するという案も浮上しているが、実現性には疑問が残る。もし弾劾訴追案が再び提出され、可決されれば、韓国は再び政権交代の可能性に直面することになる。

政治的混乱が続く中で、韓国市民は安定した政治と経済を求めている。与野党が協力して国の信頼を回復し、国際社会においても強い立場を維持するためには、双方が対話と妥協を重ねる必要がある。まるで嵐の中で舵を取る船のように、韓国はこの試練を乗り越えなければならない。

尹大統領の謝罪が2分間の短い談話にとどまったことに対する批判も多い。国民の声に耳を傾け、非常戒厳に至った経緯を明らかにすることが、尹大統領の課題である。韓国の政治は今、岐路に立たされている。

[松本 亮太]

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