JR東日本の未来改札構想!SF映画のように顔認証で通過可能に
未来の改札: JR東日本の大胆な挑戦
JR東日本が発表した「Suica」の未来構想は、まるでSF映画の一場面を現実にしたかのような大胆な試みです。改札を通らずに電車に乗れるという、このいわゆる「ウォークスルー改札」は、顔認証技術を駆使した新しい交通体験を提供することを目指しています。これにより、乗客は荷物をガサゴソ探すことなく、スムーズに改札を通過できる日が訪れるかもしれません。JR東日本は、この技術を今後10年以内に実用化しようとしています。
この構想は、鉄道業界での競争が激化する中で、JR東日本がキャッシュレス決済の新たなフロンティアを切り開くための一手でもあります。2026年には、モバイルSuicaに新たな送金機能や高額決済が加わり、2028年度には、さまざまな機能を集約した「Suicaアプリ(仮称)」の導入が予定されています。これにより、Suicaは単なる「移動のデバイス」から「生活のデバイス」へと進化することを目指しています。
競争の激化: なぜJR東海に勝てないのか
JR東日本が未来を見据えた構想を発表する中で、鉄道業界のもう一つの大きな対抗馬、JR東海が存在感を増しています。JR東海は、東海道新幹線という収益源を中心に、「鉄道で稼ぐ」ビジネスモデルを堅持しています。営業距離はJR東日本よりも短く、従業員数も少ないにもかかわらず、JR東海は高い利益率を誇り、その「稼ぐ力」は業界内で最強と言われています。
この違いは、ビジネスモデルの違いにあります。JR東海は、運輸業に従事する従業員の割合が非常に高く、主に東海道新幹線の収益に依存しています。一方、JR東日本は運輸業以外の事業にも幅広く手を広げていますが、その分、利益率ではJR東海に及ばないのが現実です。
キャッシュレス時代への挑戦と課題
JR東日本が描く「Suica経済圏」の拡大は、キャッシュレス決済の新時代に向けた大きな一歩です。しかし、そこにはプライバシーの問題という大きな課題も潜んでいます。2013年、Suicaの利用履歴の外部提供が批判を浴びたこともあり、個人情報の扱いには慎重な姿勢が求められます。
また、顔認証技術や位置情報を活用した改札システムは、スマートフォンが必須となるため、充電切れなどで通行できなくなる可能性もあります。このため、既存の窓口対応などのバックアップシステムも必要となるでしょう。「スマホありき」のシステムが普及するには、まだ多くの課題を克服する必要があります。
未来の鉄道体験を目指して
JR東日本が目指す「ウォークスルー改札」は、利便性の向上だけでなく、改札機の撤去による駅の空間活用にもつながります。これにより、駅の再開発や新たな商業スペースの創出が期待されます。高輪ゲートウェイ駅などの再開発事例からもわかるように、JR東日本は駅周辺の不動産開発にも積極的です。駅が単なる通過点ではなく、地域のハブとしての役割を果たすことを目指しています。
[田中 誠]