ビットコインとエヌビディアの運命共同体?10万ドルの壁を超える戦略を探る
ビットコインの行方:10万ドルの壁とエヌビディアの影響
ビットコイン(BTC)が9万ドルから10万ドルのレンジで停滞していることは、暗号資産市場におけるホットな話題だ。12月5日の一時的な10万ドル突破以来、大きな動きが見られない状況に、多くのトレーダーたちは心配を募らせている。市場の動きが止まっているのは、流動性の減少とエヌビディアの株価の失速が原因だと指摘されているが、その背景には複雑な要因が絡み合っている。
流動性の減少がもたらす影響
まず、現物ETF(上場投資信託)を通じた暗号資産市場への流動性の流入が鈍化していることが、ビットコインの上昇を阻んでいる。10xリサーチによると、市場流動性インパルス指数の週次変化率は、先月の150億ドル(約2兆2500億円)から70億ドル(約1兆500億円)へと半減している。この流動性の伸びの鈍化は、ビットコインが10万ドル以上の水準を維持できない一因とされている。
ステーブルコインやETF、CMEの現金決済先物が流動性の重要な要素だ。ステーブルコインは、米ドルのような法定通貨にペッグされており、暗号資産の購入資金として使用される。ETFは、暗号資産を所有せずにその価格変動に投資する手段であり、ますます人気を集めている。
エヌビディアの株価失速とビットコインの相関関係
次に、世界最大のチップメーカーであるエヌビディアの株価の失速がビットコインに影響を与えている。エヌビディアは、2022年後半にAIのブームと共に急成長し、リスク資産全般の先行指標としての地位を確立した。ビットコインも同時期に底を打ち、エヌビディアと強い正の相関関係を持つようになった。
しかし、エヌビディアの株価は11月中旬以降勢いを失い、弱気の反転パターンである「ヘッド・アンド・ショルダーズ」を形成している。Market Chameleonによると、1年間のプットコールスキューは中立的な見方に転じている。この変化は、ビットコインにとっても心理的な影響を及ぼしている。
TheMarketEarのアナリストは、ビットコインがエヌビディアに追いついたと考えているが、それは心理的なものであり、実際の共通点は少ない。ビットコインが再び10万ドルの節目に挑むためには、流動性の流入とリスク選好の回復が必要だ。
マラソンデジタルの積極的なビットコイン購入
ビットコイン市場において積極的な動きを見せるのが、米ナスダック上場のビットコインマイニング企業、マラソン・デジタル・ホールディングス(MARA)だ。最近、転換社債の販売で調達した資金の一部を使って約11億ドル(約1,671億円)を投じて11,774BTCを購入し、同社のビットコイン総保有数は40,435BTCに達した。マラソンデジタルの動きは、ビットコイン市場への信頼と将来の価格上昇への期待を示している。
この購入は、企業がビットコインを単なる投資対象と見なすのではなく、戦略的資産と捉えていることを示している。マラソンデジタルのような企業が積極的にビットコインを購入することは、市場における需要を支える重要な要素となっている。
日本ブロックチェーン協会の10周年
一方、日本では、日本ブロックチェーン協会(JBA)が10周年を迎え、記念動画を公開した。JBAは、ブロックチェーン技術の普及と発展を目指して活動しており、その設立からの10年間は、暗号資産の成長と変革の歴史を振り返る良い機会となっている。このような組織の存在は、技術の健全な発展を支える重要な役割を果たしている。
このように、ビットコインの価格動向や市場の変化は、技術的な要因や企業の動き、さらには市場心理に大きく影響されている。10万ドルの壁を超えるためには、多くの要因が絡み合う中で、流動性の回復や市場の信頼が鍵となるだろう。
[鈴木 美咲]