NTTの未来を支える技術革新:IOWNと生成AI「tsuzumi」への挑戦
NTTの未来を担う技術革新:IOWNと生成AI「tsuzumi」の挑戦
NTTが主催する「NTT R&Dフォーラム 2024」は、光通信技術IOWN(アイオン)と生成AI「tsuzumi」の2大テーマを掲げ、新しい技術革新の可能性を探る場として注目を集めています。本イベントは、NTTの最先端技術がどのように我々の未来を変えていくのか、そしてその技術がもたらす産業界への影響を深掘りする絶好の機会となっています。
光通信技術IOWNの可能性:オールフォトニクス・ネットワーク(APN)の進化
IOWNプロジェクトの中核をなす「オールフォトニクス・ネットワーク(APN)」は、従来の通信網を凌駕する高速・大容量・低遅延を実現し、様々な分野での応用を可能にします。NTTは、法人向けに800Gbpsの高速通信サービス「All-Photonics Connect」を発表し、TBSとのリモートプロダクション環境の構築など、実用化への取り組みを加速しています。これにより、遠隔制御や遠隔サービスが現実のものとなり、例えば、都市間を結ぶデータセンターの統合運用や、再生可能エネルギーを活用した効率的な電力管理が可能になります。
APNの導入は、日本全国におけるエネルギー利用の最適化を促進します。特に、太陽光発電などの再生可能エネルギーが天候に左右される課題に対し、APNを用いた柔軟なリソース管理が可能となり、各地の発電量に応じたエネルギーの振り分けが実現します。これにより、持続可能なエネルギー社会の構築に寄与し、環境負荷の軽減にも貢献します。
生成AI「tsuzumi」の軽量化と独自性
生成AI「tsuzumi」は、NTTが開発した日本語に特化した軽量なLLMとして、既に900件以上の導入相談が寄せられています。NTTは、AIの大規模化に抗い、軽量化と効率化を重視したアプローチを採用しています。これは、膨大なエネルギー消費を伴う大規模モデルの開発がサステナビリティの観点からも疑問視される中で、より知的で持続可能なAI開発を目指す姿勢を示しています。
tsuzumiは、AIエージェント機能を通じて企業の業務効率化を支援し、ユーザーの作業を代替することで生産性向上に寄与します。例えば、物品の発注や社内マニュアルの理解支援など、日常業務の多くを自動化し、労働力の最適化を実現します。また、自然言語処理を活用した「発話単位音声要約」や、スポーツ指導に応用できる動作理解など、コミュニケーションの質を高める技術も開発されています。
AI技術の進化とNTTデータの取り組み
NTTグループ全体としても、AI技術の進化をビジネス変革に活用する取り組みが進行中です。NTTデータグループは、ソフトウェア開発の生産性を飛躍的に向上させるため、生成AIを活用したプロジェクトを推進しています。特に、コード生成やテスト自動化を通じて、開発プロセス全体の効率化を目指し、2027年度までに生産性を70%向上させることを目標としています。
GitHubとの提携も、最新技術の導入やセキュリティの強化、AI活用人材の育成など、幅広い目的で進められています。これにより、NTTデータグループは、AIを中心とした開発環境の最適化を図り、顧客に対してより迅速で安全なサービス提供を実現します。
未来を見据えた技術革新の展望
NTTの研究開発は、光通信技術と生成AIの融合による次世代インフラの構築を目指しています。特に、IOWNとtsuzumiの連携により、通信インフラとAIが一体となり、よりスマートで持続可能な社会を実現する基盤が整備されつつあります。
このような技術革新は、今後のデジタル社会において不可欠な存在となり、産業界の変革を促進します。NTTは、引き続きオープンな姿勢で研究開発を進め、多様なパートナーシップを通じてグローバルな技術競争に参画していくことでしょう。これにより、日本発の技術が世界の標準となる可能性を秘めており、IOWNおよびtsuzumiがもたらす未来に期待が高まります。
[田中 誠]