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2024年12月13日 23時11分

料理評論家・服部幸應さんをしのぶ:食育の革命者が残した遺産

料理評論家・服部幸應さんをしのぶ:食育革命の立役者

秋の訪れとともに、料理の世界に一つの大きな星が消えました。10月に急性心不全で亡くなった料理評論家・服部幸應さんの合同葬が東京・増上寺で行われ、約8000人が参列しました。これだけの人数が集まったことからも、服部さんが築き上げた影響力の大きさが伺えます。

服部幸應さんは、料理界において単なる評論家の枠を超え、「食育」の推進者としての役割を果たしてきました。特に、2005年に成立した『食育基本法』への尽力は、彼の食に対する情熱と信念を象徴しています。食育とは、単に食べることの技術を教えるのではなく、食を通じて人々の生活全般を豊かにすることを目指す教育です。服部さんはその考えを広めることで、料理の枠を超えた文化的な意義を社会に伝えることに成功しました。

フレンチの鉄人・坂井宏行の思い出

『料理の鉄人』で共演したフレンチの鉄人・坂井宏行シェフは、ユーモアを交えて服部さんとの思い出を語りました。「先生が『ムッシュはこれきっと蒸すな』って言うと、意地悪したくて焼いちゃうんですよ」と微笑む坂井シェフの言葉には、服部さんの鋭い観察力と温かみのある指摘が垣間見えます。服部さんの解説は、単なる技術的なコメントにとどまらず、料理人たちの心に火をつけ、彼らの創造力を刺激しました。

坂井シェフのような名立たる料理人をも影響下に置く服部さんの指導力は、まさに料理界の「教師」としての力量の賜物です。彼の存在は、料理の技術だけでなく、その背景にある食文化への理解を深める重要性を業界全体に浸透させました。

保田圭が語る服部さんの生き様

タレントの保田圭さんもまた、服部さんから深い影響を受けた一人です。彼女は、ラジオ番組での共演を通じて、生活のあらゆる場面で服部さんの教えが生きていると述べています。彼女の証言からは、服部さんがいかに「食」を通じて人々の生活に寄り添っていたかが伝わってきます。

保田さんは、服部さんと過ごした最後の日のことを涙ながらに振り返りました。「その日は先生がアップルパイを持ってきてくださって…」と、彼女の言葉には、服部さんの優しさと人間味が詰まっています。ラジオ収録後には一緒にランチを楽しみ、別れる際には「また会おう」という言葉を交わしたといいます。その数時間後に訪れた突然の別れは、彼女にとって信じがたいものでした。

未唯mieが継ぐ「食育」のバトン

ピンク・レディーの未唯mieさんも、服部さんの葬儀に参列し、その教えを継承していくことを誓いました。彼女は2018年に服部栄養専門学校の食育実践マスターコースを修了し、今もなお、服部さんの「食育」の理念を広める活動に携わっています。「食から人々の幸せ、世界平和につながる様なお話を具体的な例をあげながら熱心に話してくださった」と、彼の熱意に触れた未唯さんの言葉には、服部さんがいかに人々に影響を与え続けてきたかが表れています。

服部さんの教えは、料理界を超えて、広く一般の人々の生活に影響を与え続けています。彼の掲げる「食育」は、単なる食事の技術を超えた、生活の質を向上させるための鍵として、多くの人々に受け入れられています。

服部幸應さんの遺したものは、私たちが日々口にする食事そのものだけでなく、食を通じて築かれる人と人とのつながりや、社会全体を豊かにするための大切な教訓です。彼の教えがこれからも多くの人々の心に残り、次の世代に受け継がれていくことでしょう。

[伊藤 彩花]

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