IT
2024年12月14日 06時21分

QualcommのSnapdragonが車載システムに進出!未来の車を変える新展開

Qualcommと未来の車載システム: Snapdragonの野望

2023年、QualcommのSnapdragonは次なる大きなステップを踏み出す準備を整えている。彼らの目標は、単なるモバイルデバイスの枠を超え、車載システムという新たな領域へと進出することだ。Snapdragon Summit 2024での発表は、その意図を明確にし、モバイル向けSoCの進化と、車載コンピューティングへの野心が交差する瞬間を提供した。

Snapdragonの進化: Oryonコアの新展開

Qualcommは、モバイルデバイスの性能をさらに高めるべく、最新の技術を投入している。2024年5月に出荷が始まった新CPUコア「Oryon」を搭載した「Snapdragon X Elite/Plus」は、PC市場においても大きなインパクトを与えた。その後、Snapdragon Summitで発表された「Snapdragon 8 Elite」は、モバイル向けのSoCとして、さらに一歩進んだ性能を示している。このSoCは、特にゲームやAI対応アプリケーションのパフォーマンス向上を目指し、Primeコアを2つに増やし、強化されたPerformanceコアを備えている。

Qualcommが目指すのは、単なるSoCの横展開ではなく、各分野に合わせた最適化を施すことで、より深く市場に浸透することだ。これは、性能を追求するだけでなく、消費電力や効率性を考慮したバランスの取れたアプローチである。

AIの未来とSnapdragonの役割

AIの進化は止まることを知らず、Qualcommのような企業は、未来を見据えた製品開発に取り組んでいる。製品の開発から市場投入までのリードタイムを考慮すると、現在のプロジェクトは5~7年先のトレンドを見越して進行されている。これは、Qualcommが業界のリーダーシップを確立するための鍵となる。

車載コンピューティングへの進出

QualcommのSnapdragonは、モバイルデバイスにとどまらず、XRデバイスや産業分野のIoT、そして車載コンピュータへとその領域を広げている。特に車載システムは、彼らの注力分野の一つであり、これからの成長が期待される。2024年のSnapdragon Summitでは、車載コンピューティングが大きなテーマとなり、その可能性が示された。

Qualcommは、ADAS(先進運転支援システム)を含む自動運転技術の開発においても積極的に取り組んでいる。これは、車の制御部分であるDCU(Domain Control Unit)において、彼らの技術が活用されることを意味する。車載システムの市場では、性能だけでなく、安全性や信頼性も求められるため、Qualcommはこれらの要件を満たすためのソリューションを提供している。

耐用年数と持続可能性の課題

車載システムにおけるもう一つの課題は、耐用年数の問題だ。スマートフォンやPCの買い換えサイクルが4~5年であるのに対し、車載システムでは10~15年の耐久性が求められる。このため、Qualcommはハードウェアの性能に余裕を持たせ、ソフトウェアのOTA(Over The Air)による機能強化や改修を行うことで、持続可能なシステムを提供しようとしている。

QualcommとGoogleの提携は、Snapdragon Digital ChassisにAI対応コックピットを導入するためのフレームワークを提供し、車載システムの開発を容易にする。このような取り組みは、IVIやADAS搭載の自動車が市場に登場するための重要なステップとなるだろう。

[高橋 悠真]

タグ
#Qualcomm
#Snapdragon
#車載システム