エンタメ
2024年12月17日 17時10分

富田望生初主演『港に灯がともる』、震災から30年目に送る感動作

富田望生主演『港に灯がともる』、生きづらさを抱える全ての人に贈る物語

2025年1月17日に公開となる映画『港に灯がともる』。阪神・淡路大震災の翌月に生まれた在日コリアンの女性・金子灯(かねこあかり)の成長を描く本作は、富田望生の映画初主演作品であり、彼女の演技力が光る感動作として期待が高まっている。

神戸を舞台にしたこの映画は、震災の記憶と向き合いながら、自分自身の存在意義を探し求める灯の姿を通じて、観客に「生きやすさ」を見つけることの意味を問いかける。監督はNHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』の安達もじり、音楽は『心の傷を癒すということ 劇場版』でも安達監督とタッグを組んだ世武裕子が担当している。

震災の記憶と家族との葛藤

物語の舞台は、一面焼け野原となった1995年の神戸・長田。そこに生まれた灯は、在日コリアンである自覚が薄く、また、震災の記憶もない。彼女が感じるのは、家族の歴史や震災当時の話がどこか遠いものに思える孤独感と苛立ちだ。家族との衝突が絶えない中、親戚の集まりでの口論が引き金となり、彼女は「全部しんどい」と心の内を吐露する。

灯の抱える葛藤は、まさに現代の若者が直面するアイデンティティの模索そのものである。家族との関係、社会における自分の立ち位置、そして自分自身の心のあり方。これらの複雑な要素は、灯が抱える双極性障害という形で表面化し、彼女をさらなる混乱へと導く。

心のケアとの出会い

灯は、ある日心のケアと出会い、双極性障害と向き合うことになる。この出会いを通じて、彼女は自分の心と向き合えるようになり、ゆっくりと希望を見出していく。精神科医の「あなたなりの『生きやすさ』をみつけてほしい」という言葉は、灯だけでなく、観客自身の心にも響くメッセージだ。

これは、ただ障害を乗り越えるだけの物語ではない。灯が生きる神戸の風景と共に、彼女の心の旅が描かれるこの映画は、観る者に自身の生き方を見つめ直すきっかけを提供してくれるだろう。灯が少しずつ前を向いていく姿は、私たち自身の「生きやすさ」を見つけるためのヒントを与えてくれる。

震災30年目の意味

『港に灯がともる』の公開日は2025年1月17日、阪神・淡路大震災からちょうど30年の節目である。この映画は、単なる震災の記憶を振り返る作品ではなく、その後の世代がどのように生き抜いていくのかを描く、未来へのメッセージでもある。

震災を経験していない灯が、どのようにして自分自身の人生と向き合うのか。彼女の選択は、過去の悲劇を乗り越える力を持ち、未来への希望を照らす灯火となる。灯の物語は、過去を知り、未来を創造する力を私たちに示してくれる。

プロデューサーの願い

本作のプロデューサー、堀之内礼二郎は「あなたなりの『生きやすさ』をみつけてほしい」と語る。この願いは、劇中の灯と共に神戸の空気を感じ、観客自身が自分の生き方を見つけられるようにという思いが込められている。

『港に灯がともる』は、ただのフィクションではなく、私たち一人ひとりの人生に寄り添う物語だ。灯と共に歩む彼女の旅路は、きっと観る者にとっても心の灯となるだろう。

1月17日、映画館で彼女の物語を追体験することで、あなた自身の「生きやすさ」を見つける旅が始まるかもしれない。

[田中 誠]

タグ
#富田望生
#映画
#阪神淡路大震災