経済
2024年12月17日 17時22分

東レの150℃耐熱フィルムが電動モビリティの未来を革新

新技術で未来を切り拓く東レの挑戦:150℃耐熱フィルムの開発がもたらすイノベーション

2024年12月16日、東レが発表したニュースは、技術の新しい夜明けを象徴するものでした。150℃の高温で動作可能な高耐電圧コンデンサー用フィルムの開発に成功したというこの知らせは、電動モビリティの未来を再定義する可能性を秘めています。この画期的な開発は、特に電気自動車(EV)や空飛ぶクルマといった次世代の移動手段において、設計と効率の両面で革新をもたらすでしょう。

東レの新しいフィルム技術は、シリコンカーバイド(SiC)パワー半導体を搭載したインバータの小型化と軽量化を可能にするとしています。これにより、従来の冷却システムを簡素化でき、エネルギー効率を高めることが期待されます。インバータはEVや空飛ぶクルマの心臓部とも言える重要な部品であり、その信頼性と効率性が高まれば、電動モビリティの普及が加速することは間違いありません。

技術の鍵:ポリマー設計とセルフヒール性

新フィルムの開発には、東レ独自のポリマー設計技術と二軸延伸技術が用いられています。これにより、高温での高い耐電圧を持つフィルム基材層が実現されました。さらに、セルフヒール性を備えた薄膜積層が施され、150℃でも高い信頼性を確保しています。このセルフヒール性とは、フィルムコンデンサーに過電圧がかかった際に発生する絶縁破壊から自己修復する能力で、これにより、コンデンサーの寿命と信頼性が大幅に向上します。

従来のポリプロピレン(PP)フィルムコンデンサーでは耐熱性に限界がありましたが、この新技術により、これまでの壁を打ち破ることができました。名古屋大学の山本真義教授との共同研究で、実際の車載インバータ環境において150℃での動作が確認され、実用化への道が開かれています。

経団連新会長が示唆する産業界の変革

一方で、経団連では初めて金融機関出身の筒井義信氏が会長に就任する予定です。この人事は、製造業が中心だった経団連の政策に新たな風を吹き込むことを示唆しています。筒井氏は、日本生命での経営手腕を発揮し、脱炭素社会に向けたGX(グリーントランスフォーメーション)戦略の推進に寄与してきました。

未来への展望:技術革新と経団連の新体制

東レのフィルムは単なる材料技術の進化を超えて、未来の移動手段や産業機械の設計に大きな影響を与える可能性を秘めています。空飛ぶクルマの実現に向けた技術的ハードルを下げ、船舶や産業機械の電動化を促進することで、脱炭素社会の実現に貢献するでしょう。

このような技術革新が進行する中で、経団連の新体制がどのように日本の産業政策をリードしていくのか、目が離せません。金融からの視点を持つ筒井氏が、どのようにして新しい時代にふさわしい経済政策を打ち出していくのか、その手腕が問われる時が来ているのです。

[伊藤 彩花]

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