スペースワンの挑戦続く、「カイロス2号機」打ち上げ失敗再び
民間ロケット「カイロス2号機」、打ち上げ成功の夢は再び空に消える
和歌山県串本町のスペースポート紀伊から、民間宇宙ベンチャー企業スペースワンが開発した「カイロス2号機」が打ち上げられました。しかし、その飛行は途中で中断され、期待されていた軌道投入は実現しませんでした。この失敗は、今年3月に打ち上げた初号機の失敗に続くもので、スペースワンにとってはまたしても苦い結果となりました。
午前11時、見学会場に集まった人々の中には、ロケットの発射を見届けようとする期待が高まっていました。強風の影響で2度の延期を経たこの日、打ち上げの瞬間には歓声が上がり、成功への期待が最高潮に達していました。しかし、ミッション達成が難しいと判断されると、会場は静まり返り、ため息が漏れました。技術の進歩を目の当たりにするはずだった人々の心には、失望の色が広がりました。
技術的課題と挑戦の連続
今回の打ち上げで使用されたカイロス2号機は、全長約18メートル、重さ約23トンの3段式ロケットです。打ち上げは順調に進み、2分28秒後に第1段を、2分55秒後には衛星カバーを分離するところまでは成功しました。しかし、その後に飛行中断措置が取られたのです。この中断措置は、安全のために上空で爆破が行われた可能性があり、スペースワンは現在、原因の確認を急ピッチで進めています。
初号機の失敗は、システムに設定された上昇速度の範囲が不適切で、高すぎたことが原因でした。打ち上げ直後の実際の上昇速度が範囲を下回ったため、自律飛行安全システムが発動して爆破に至ったのです。これを教訓に、2号機では設定値を適切な範囲に修正して臨みました。しかし、今回の飛行中断が示すように、宇宙への挑戦は一筋縄ではいかないものです。
民間宇宙開発の未来と日本の挑戦
スペースワンの豊田正和社長は、初号機の経験を活かしてシステム全体の改善を図り、2号機の成功を目指していました。しかし、宇宙開発は多くの技術的挑戦を伴うため、失敗のリスクは常に存在します。新しい技術を開発し、既存の問題を解決する過程でのトライアンドエラーは、避けられない部分でもあります。
強風という自然の壁と人間の挑戦
打ち上げ当日は、予期せぬ強風が発射場を襲い、14日と15日に予定されていた打ち上げは延期されました。自然の力は、宇宙開発においてもしばしば大きな障害となります。風速や気象条件はロケットの打ち上げに直接影響を与えるため、慎重な調整が求められるのです。それはまるで、風に逆らって凧を揚げるようなものと言えるでしょう。
このような自然の壁と技術的課題に向き合いながらも、スペースワンをはじめとする宇宙ベンチャー企業は挑戦を続けています。技術の進化は一夜にして成し遂げられるものではありませんが、一歩一歩前進することで、やがては新たな未来を切り拓く鍵となるでしょう。
[山本 菜々子]