風間俊介と松岡広大が挑む「モンスター」、観客を揺さぶる二面性の舞台
風間俊介と松岡広大、新作舞台「モンスター」で見せる二面性
舞台「モンスター」の取材会が東京・新国立劇場で行われ、主演の風間俊介と共演の松岡広大が登場しました。家族から愛を受けられず、社会に問題児として扱われる生徒ダリル役の松岡と、心に問題を抱える新人教師トム役の風間。この二人の対峙を軸に、家族と教育の問題を鋭く描いた作品です。
松岡は「個人的には手応えが一切ない」と自身の演技に対する謙虚な姿勢を見せつつも、その言葉の裏には役に対する深い取り組みと、役柄の14歳という設定への挑戦が潜んでいます。風間はそんな松岡について「皆さんがビックリすると思う」と、役柄とのギャップに言及し、観客の期待を煽ります。舞台裏でも仲の良い二人ですが、その一方で舞台上では鋭く対立する役柄を演じる彼らの二面性が、観客に新しい視点を提供するのです。
舞台「モンスター」: 社会問題への鋭い切り込み
舞台「モンスター」は単なる演劇以上のものです。この作品は、教育現場や家庭に潜む問題を浮き彫りにし、観客に社会的な問いかけを投げかけます。風間俊介は「この作品はこれから社会をどうとらえていくのかということに深く切り込んでいる」と述べ、作品が持つ社会的意義を強調しました。
風間にとっては3年ぶりの単独主演舞台ですが、「トムという役の単独主演とはとらえていない」と語り、「異分子であるダリルと対峙する人たちを描いていて、見に来て下さる方々へ、自分たちが異分子と出会った時にどう思いますかという問いかけだと思う」と、作品が持つ普遍的なテーマについて言及しました。このように、彼らが演じるキャラクターは単なる物語の登場人物ではなく、現代社会の縮図を映し出す存在として観客に問いを投げかけます。
舞台の向こう側: 俳優たちの素顔
舞台裏では、風間と松岡の仲の良さが垣間見えます。風間は「裏では仲良いですね、私たちね」と述べ、舞台の重いテーマとは裏腹に、共演者たちの和やかな雰囲気を紹介しました。クリスマス公演では、舞台の重厚感とは対照的に「みんなでチキンを食べられたら」とポップな計画で盛り上がっています。舞台裏のこのようなエピソードは、俳優たちの人間味を感じさせ、観客が彼らをより身近に感じる要素となります。
風間は唯一、自身が出演しない場面が物語の核であることを明かし、「楽しみにしてほしい」と観客に呼びかけました。作品の中心となるこの場面がどのように物語の流れを左右するのか、観客の期待を高めているのです。
「モンスター」の意義と期待
舞台「モンスター」は、教育や家族、そして社会全体に対する鋭いメッセージを持つ作品です。風間俊介と松岡広大という二人の俳優が、舞台上で見せる対峙と、舞台裏での和やかな関係は、物語が持つテーマの深さをさらに際立たせます。
この舞台が問いかけるのは、観客自身の内面にある偏見や固定観念です。彼らの演技を通して、観客は自分の中に潜む「モンスター」と対峙することを余儀なくされるでしょう。風間が「観客が同じ体験をした感覚で観劇して下さっていることにとても手ごたえを感じている」と述べたように、この作品は観客に深い影響を与えることを目指しています。
新国立劇場での公演は28日まで。この舞台がどのように観客の心に響くのか、期待が高まります。観客は、風間と松岡が紡ぎ出す物語の中で、自分自身と向き合う旅に出ることになりそうです。
[伊藤 彩花]