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2024年12月20日 07時40分

阪神・淡路大震災から学ぶ、防災意識を次世代へ

忘却の中で学ぶ:阪神・淡路大震災と防災意識の継承

1995年1月17日、阪神・淡路大震災が発生し、日本中に衝撃を与えました。この災害は、多くの命を奪い、都市を瓦礫の山に変え、社会に深い爪痕を残しました。しかし、災害から約30年が経過し、その記憶は徐々に薄れつつあります。日本赤十字社の調査によれば、10代から30代の多くは震災の詳細を知らないか、発災日さえも認識していないことが明らかになりました。

薄れゆく記憶と世代間のギャップ

震災を直接体験した世代にとって、1月17日は特別な日として記憶されています。高速道路が倒壊し、街が炎に包まれる映像は、決して忘れられない光景です。しかし、震災後に生まれた若い世代にとっては、阪神・淡路大震災は教科書の一節に過ぎず、実感を伴わない歴史となりつつあります。調査でも、災害の日付を知らない人が約4割に上ることが示されています。

この記憶の風化は自然なプロセスですが、一方で防災意識の低下を招く危険性も孕んでいます。過去の災害を知り、何かしら行動に移した人は63.2%にとどまり、多くの人が日常の忙しさの中で防災意識を後回しにしているのが現状です。震災は「忘れたころにやってくる」と言われるように、災害の記憶を持ち続けることは、未来の備えに直結します。

消防博物館の役割と次世代へのメッセージ

この博物館は、ただの展示施設ではありません。訪れる人々に過去の教訓を伝え、未来への備えを促す生きた教材でもあります。5歳の男の子が「消防車が大好き」と目を輝かせたように、次世代へのメッセージを届ける場として、重要な役割を担っています。

このような施設があることで、若い世代が過去の災害を学び、未来に対する備えを考えるきっかけとなることが期待されます。日常生活の中で防災意識を持ち続けることは難しいかもしれませんが、日々の小さな行動の積み重ねが未来の安全を作るのです。

防災意識の継続的な向上を目指して

震災から30年を迎える今、私たちは何を学び、どう行動すべきでしょうか。過去の災害を忘れず、常に備えることが求められています。具体的な行動としては、防災備蓄の見直しや居住地のハザードマップの確認などが挙げられます。

震災は忘れたころにやってきますが、備えを怠らず、未来の安全を確保するために、私たちは過去の教訓を未来に継承していく必要があります。防災意識を日々の生活に取り込み、次世代に伝えていくことが、私たちの責任であり、使命であると言えるでしょう。

震災の日々は、ただの過去の出来事ではありません。それは、未来の災害に備えるための大切な教訓です。私たちは、記憶を風化させないために、今何をするべきかを考え続ける必要があります。

[山本 菜々子]

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