国際
2024年12月21日 09時30分

ロシア・北朝鮮連合軍、ウクライナ防御戦略に苦戦中:クルスク州の攻防戦

ロシア・北朝鮮連合軍、クルスク州で苦戦続く:ウクライナの防御戦略が勝利を阻む

ロシア軍が北朝鮮軍第11軍団を援軍として加え、ウクライナ西部クルスク州での戦線を進めていますが、その進展は苦難の連続です。12月6日から7日にかけての攻撃では、北朝鮮軍の大規模な動員にもかかわらず、ウクライナ軍の巧妙な防御戦略に阻まれ、目立った戦果を上げることができていません。ウクライナ軍の堅固な防衛線は、プショール川に象徴される天然の障壁を巧みに利用し、ロシア・北朝鮮連合軍の進撃を阻んでいるのです。

北朝鮮部隊の攻撃は、時に「群れのように」突撃する大胆な戦法をとるものの、ウクライナのジャーナリスト、アンドリー・ツァプリエンコが伝えるように、大部分が失敗に終わっています。成功した襲撃すらも、大きな損害を伴う「ピュロスの勝利」に過ぎないと言われています。このような状況下で、北朝鮮部隊は200人ほどの死傷者を出したとされ、その損耗率が続けば持ちこたえるのは難しいでしょう。

ウクライナの計算された撤退と地形の利活用

ウクライナ軍は、クルスク州での土地を容易に明け渡すことの危険性を認識しつつも、プリョーホボ村から計算された撤退を選択しました。これは単なる後退ではなく、敵をプショール川という天然の防壁に誘導し、地形を最大限に活用する戦術的な動きでした。この地形戦略により、ウクライナ軍は川を挟んで防御陣地を構築し、ロシア・北朝鮮連合軍の動きを制約しています。

ロシア・北朝鮮連合軍は、ドローンや大砲の攻撃にさらされながら、ウクライナ側の防御線に接近することを余儀なくされています。特に、ウクライナ軍が使用する無人航空機(UAV)は、敵の動きを探知し、的確に攻撃を加えるための重要な役割を果たしています。このため、連合軍の攻撃はウクライナ軍の防御線手前で終わってしまうことが多いのです。

越境攻撃と地域の緊張

一方、ロシア西部クルスク州リリスクでは、ウクライナ軍によるミサイル攻撃が発生し、民間施設にも被害が及びました。この攻撃で6人が死亡し、10人が負傷。文化会館や学校、教会などが損壊し、地域の住民に大きな衝撃を与えました。このような越境攻撃は、クルスク州での緊張をさらに高めています。

この一連の攻撃は、ウクライナの防御戦略が成功している一方で、地域の安全保障環境が非常に不安定であることを示しています。ウクライナ軍が防衛に成功しているとしても、ロシア側の報復やさらなる攻撃の可能性が懸念されます。

NATOと国際的な軍事支援の行方

トランプ氏はこれまで、NATO加盟国が十分な国防費を負担していないことに対して不満を示しており、ウクライナ支援には消極的な姿勢を見せていました。しかし、今回の要求は、ウクライナ紛争が国際的な軍事バランスに影響を及ぼしていることを反映しているかもしれません。

このように、クルスク州での戦闘と越境攻撃の影響は、地域だけでなく国際的な安全保障にも波及しています。ウクライナ、ロシア、そして北朝鮮を取り巻く状況は、今後の国際情勢における重要な焦点となるでしょう。読者の皆様も、日々のニュースを追いながら、この動きの行方を注視していく必要があるかもしれません。

[伊藤 彩花]

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