被団協、ノーベル平和賞受賞!木戸季市さんの核廃絶への決意
被団協のノーベル平和賞受賞:木戸季市さんの使命と未来への思い
ノーベル平和賞を受賞した日本原水爆被害者団体協議会(被団協)の事務局長、木戸季市さん(84)が、ノルウェーでの授賞式から帰国し、岐阜市役所で市長らに受賞を報告しました。木戸さんは、1945年に長崎で被爆した経験から、長年にわたり核兵器廃絶を訴え続けてきました。彼の人生と活動は、多くの人々にとって希望の象徴であり、その思いは今もなお強く、未来のための重要なメッセージを伝え続けています。
被爆体験がもたらした人生の使命
木戸さんが被爆したのは、わずか5歳の時。長崎市の爆心地から約2キロの自宅近くで、彼は顔に深い火傷を負いました。この経験は、彼の人生の根底に深く刻まれ、彼をして核兵器廃絶の活動へと駆り立てました。彼の言葉には、個人の体験を超えて、未来の世代のために核兵器を廃絶することの重要性が込められています。
「ノーベル平和賞をいただいて、大変ありがたい」と笑顔を見せる木戸さん。しかし、その笑顔の裏には、「人類を守る」という責任感が強く感じられます。「残り少なくなった私の生涯の最後の仕事。これをやり切る使命を仰せつかった」と彼は語り、その決意は揺るぎないものです。
被団協の活動と国際社会の期待
被団協は被爆者の立場から、世界に向けて核兵器廃絶を訴えてきました。その活動は、草の根運動としての地道な努力によって支えられてきたものです。そして、ノーベル平和賞の受賞は、これまでの活動が国際社会に認められたことを意味します。木戸さんは、「世界から期待されているというか、眺められているというか」と語り、その期待に応えようとする意欲を新たにしています。
授賞式に参加した木戸さんは、さまざまな国の人々と出会い、彼らの「戦争なくそう」「核兵器なくそう」という思いが一致していることを実感しました。この経験は、彼にとって大きな励みとなり、被爆者の思いを代弁するスピーチに感動を覚えたことを振り返ります。
未来を見据えた行動の必要性
木戸さんは、「核兵器が使われたら、人類が滅びる」ということを一番大切なことだと強調します。核兵器にしがみついているのは少数であり、圧倒的多数は「核兵器をなくし人類を守ろう」で合意していると指摘します。彼の言葉からは、核兵器廃絶が単なる夢ではなく、現実的な目標であることが伝わってきます。
「黙っていたら未来が来ない。未来を明るくする努力を私たちは続けなければならない」と木戸さんは語り、その言葉には、変化を生むためには行動が必要であるという強いメッセージが込められています。立ち止まることなく、常に歩み続けることの重要性を訴えています。
西田さんとの共闘と草の根運動
木戸さんと共に活動する岐阜県大垣市在住の西田詩津子さん(81)も、広島での被爆者としてその思いを共有しています。彼らは、原爆の惨状を伝えるパネル展「原爆と人間展」を20年以上にわたり開催し、語り部としての活動を続けています。西田さんは、木戸さんの「体調が悪くても僕は授賞式に行ってくるぞ」という決意に感銘を受け、彼と共に世界へメッセージを伝えることの重要性を感じています。
西田さんは、「戦争を起こすのも人間ですし、やめましょうと言うのも人間ですから、話し合えるんじゃないかなと思いますが」と語り、人間同士が対話を通じて平和を築くことの可能性を信じています。この信念が、彼らの活動を支え、ノーベル平和賞という形で結実しました。
被団協の活動は、戦後80年を迎える今、ますます重要性を増しています。彼らの努力は、核兵器廃絶という難題に対する地道な挑戦の証であり、未来の世代に対する希望の光です。彼らの歩みは、核兵器のない未来に向けた大きな一歩であり、私たち一人ひとりがその歩みを支えることが求められています。
[佐藤 健一]