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2024年12月21日 16時40分

『風来のシレン6』:原点回帰と新たな挑戦を経て進化する名作シリーズ

『風来のシレン6』が示す原点回帰と新たな挑戦の旅

14年の歳月を経て、ダンジョンRPGの名作『不思議のダンジョン 風来のシレン』シリーズが新たな姿で帰ってきた。最新作『風来のシレン6 とぐろ島探検録』は、シリーズの伝統を受け継ぎつつ、現代の技術を駆使して新たな挑戦を試みた作品だ。ディレクターの櫻井啓介氏とプロジェクトマネージャーの篠崎秀行氏のインタビューを通じて、その開発秘話とシリーズの未来を探る。

『シレン5plus』の成功がシリーズ再起の鍵に

「シレン」シリーズが再び脚光を浴びるきっかけとなったのは、2020年にリリースされた『風来のシレン5plus フォーチュンタワーと運命のダイス』の成功だった。この作品は、Nintendo SwitchとSteam向けに展開され、予想以上の売れ行きを記録。これが新作『シレン6』開発の後押しとなった。

篠崎氏は、「シレン」シリーズの新作企画は何度も検討されていたが、予算面での制約が大きかったことを明かす。しかし、『シレン5plus』の成功が、シリーズへの再評価を促し、新作開発の決定打となったのだ。

「原点回帰」と「挑戦」のコンセプト

『シレン6』の開発では、「原点回帰」が大きなテーマであったと櫻井氏は語る。過去作で複雑化した仕様を見直し、「シレン」本来の面白さをどこまで引き出せるかに注力したという。ダンジョンに潜るたびに展開が変わり、やり直しが効かない緊張感を大切にしつつ、新要素「パラレルプレイ」や「神器」も追加された。

また、シリーズ初となる3Dグラフィックの採用も大きな挑戦だった。これまでの2Dグラフィックからの転換は、技術の進化と開発環境の整備があってこそ可能になった。キャラクターやモンスターの動きを自然に演出するために、何度もリテイクを重ねたという。

30年の進化と「動画映え」するシレン

「シレン」シリーズが誕生してから約30年。ゲーム業界は大きく変わり、実況プレイやゲーム配信が流行する中で、「シレン」シリーズもその波に乗った。櫻井氏は、「シレン」が元々「配信映え」するゲームであると感じていたという。ハプニングが多く、プレイヤーのリアクションが自然に引き出されるため、ゲーム配信との相性が抜群だと語る。

篠崎氏も「シレン」のゲーム性は万人受けするわけではないが、ダンジョンの変化が配信での魅力を引き立てると指摘。配信を通じて新たなファンが増えることに期待を寄せている。

ユーザーの声が「シレン」の未来を形作る

『シレン6』では、発売後も高難度ダンジョンの追加やUIの調整が行われ、ユーザーからのフィードバックを積極的に取り入れている。特に、「コッパ」と「アスカ」のプレイアブル化は話題を呼んだ。これらのキャラクターは、異なるプレイフィールを提供し、ダンジョンを新たな視点で楽しむことができる。

30周年を迎える「シレン」シリーズは、今後も進化を続けていく。櫻井氏は、「シレン6」が好評であることや、Steam版の売上がシリーズの次なる展開に繋がることを期待している。また、篠崎氏は自身の「シレン」ファンとしての原点を振り返りつつ、シリーズの未来に向けた準備を進めている。

『風来のシレン6』は、シリーズの伝統を守りつつも新たな地平を切り開いた作品だ。その挑戦は、ゲーム業界の変化と共に、これからも続いていくだろう。

[山本 菜々子]

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