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2024年12月22日 10時20分

テザー社、AIプラットフォームへの挑戦とステーブルコイン戦略を発表

テザー社のAIプラットフォームとステーブルコイン戦略:新たな挑戦の裏側

テザー社が新たな領域に踏み出そうとしています。同社は、時価総額1400億ドルの暗号資産USDTを手がけることで知られていますが、今やその視線はAIプラットフォームの開発に向けられています。CEOのパオロ・アルドイノ氏は、2025年初頭のデビューを目指していると明らかにしました。この動きは、テザー社がステーブルコインの発行にとどまらず、事業の多角化を進める意欲を示しています。

AIと暗号資産の交差点

テザー社のAIプラットフォームの詳細はまだベールに包まれていますが、この動きは人工知能と暗号資産の交わりがますます重要になっていることを示しています。テザー社は、エネルギー、決済、電気通信、そして人工知能を含む様々なセクターに投資を行っており、コモディティ・トレード・ファイナンスにも参入しています。これにより、同社は電力供給の安定化や取引の効率化など、AIの応用が期待される分野でのプレゼンスを強化しています。

ステーブルコイン市場での戦略的投資

一方で、テザー社はステーブルコイン市場でも積極的な動きを見せています。最近では、MiCA(Market in Crypto-Assets)規制に準拠したステーブルコイン発行会社StablRに投資しました。StablRはユーロ連動型ステーブルコイン「EURR」と米ドル連動型ステーブルコイン「USDR」を発行しており、テザー社はこの企業の「相当数の株式」を保有しています。

この投資は、EUのMiCA規制が年内に施行される中での戦略的な動きです。MiCA規制は、ステーブルコイン発行企業に対して厳しい準拠要件を課していますが、テザー社はこれを前向きな一歩と捉えつつ、欧州の金融セクターへのシステミック・リスクにも懸念を示しています。ここでのテザー社の狙いは、規制対応を進めるStablRを通じてEU市場での足場を固めることでしょう。

ユーロステーブルコインの廃止とその背景

一方で、テザー社は自社のユーロステーブルコイン「EURT」の廃止を決定しました。これは、EU全域でのMiCA規制の施行が迫る中での対応です。テザーのEURTは市場で大きな支持を得ることができず、他のユーロステーブルコインと比較してもその時価総額は低迷していました。これにより、テザー社は新たに投資したクアントズやStablRなど、MiCA準拠の企業を通じてEU市場に再度アプローチする方針を固めたと言えるでしょう。

テザー社のCEOパオロ・アルドイノ氏は、規制の進化を歓迎しつつも、その過程でのリスクを指摘しています。特に、銀行セクターへの影響については慎重な姿勢を崩していません。これは、テザー社が米国国債やマネー・マーケット・ファンドを通じてUSDTの準備金を管理している背景からも理解できます。

未来のテザー社と暗号資産の展望

テザー社が描く未来図は、単なる暗号資産発行企業の枠を超え、AI技術との融合や規制対応を通じて新たな市場を切り開くことにあります。AIプラットフォームの開発やステーブルコイン市場での積極的な投資は、その一貫した戦略の表れです。

[佐藤 健一]

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