甲斐拓也加入で巨人捕手陣に大変革、阿部監督の新戦略とは
巨人に加入した甲斐拓也、捕手陣シャッフルの行方と課題
まず、甲斐拓也の加入によって大きな変化が予想されるのは、既存の捕手陣の役割分担である。かつて西武やロッテの監督を務めた伊東勤氏は、自身のYouTubeチャンネルで甲斐がレギュラーとして100試合以上に出場することを予想。これにより、大城卓三は主に打者としての役割を担うことになり、捕手としての出場機会は減少するという見方を示した。この移行は、大城の打撃力を最大限に活かすための戦略的な動きと考えられる。
一方、甲斐のサポート役としては岸田行倫が適任とされ、その次に小林誠司が位置付けられる。しかし、小林の存在はプロテクトリストに含まれない可能性も示唆されている。これは、過去に巨人がプロテクトリストから江藤智を漏らした例などからも、予測不可能な要素を含んでいる。
甲斐の加入がもたらす影響は捕手陣だけに留まらない。彼がどこまで阿部監督の要求に応えられるかが、新たな課題として浮上している。甲斐はゴールデングラブ賞を7度受賞した守備の名手であるが、近年は盗塁阻止率が低下しており、2023年シーズンは.284と12球団ワーストを記録している。この数字は、甲斐が「絶対的な指令塔」としての役割を果たす上での障壁となりかねない。
さらに、甲斐の配球スタイルにも課題が指摘されている。伊東勤氏は、甲斐の配球がパターン化していると述べ、これが相手打線に読まれやすくなる可能性を指摘した。具体的には、配球が直球系から変化球、そして落ちる球へと一定のパターンを持っていることが、スコアラーたちの観察によって明らかになっている。
しかし、甲斐の持つ経験と実績は、若手が多い巨人の投手陣にとって大きな支えとなるはずだ。特に、彼の豊富な試合経験とリーダーシップは、若手投手の成長を促進する要素となり得る。巨人が目指す「守り勝つ野球」において、甲斐がどのように投手陣をリードし、チームの勝利に貢献できるかが今後の焦点となる。
興味深いのは、甲斐の移籍がソフトバンクに与える影響である。甲斐の抜けた穴を埋めるべく、ソフトバンクは海野隆司を正捕手候補として挙げているが、さらに補強に動く可能性も示唆されている。これはソフトバンクのチーム戦略にとって重要な転換点となり得る。
巨人の捕手陣の再編は、球団全体にとっても大きな転換期を迎えている。甲斐の加入が吉と出るか凶と出るかは、シーズンが進むにつれて徐々に明らかになるだろう。新たな挑戦を迎える甲斐拓也が、どのようにして自らの価値を証明し、巨人の新たな時代を切り開くのか、その動向から目が離せない。
[中村 翔平]