NOT WONKとHedigan’s、音楽の新境地を探る
NOT WONKとHedigan’s、新たな音楽の地平を切り開く
苫小牧のロックバンド、NOT WONKが新曲「Embrace Me」を配信リリースした。2025年2月にリリース予定の5枚目のアルバム『Bout Foreverness』からの先行配信曲であり、ボッサのリズムを取り入れた彼ららしい柔らかいメロディが印象的だ。思いが通わなかった他者との関わりをテーマにしたこの楽曲は、憂いを帯びた詩情を通じて聴く者の心に深く訴えかける。
NOT WONKの新たな挑戦と進化
NOT WONKは、これまでの活動を通じてロックの枠にとらわれない多様な音楽性を発揮してきた。今回の「Embrace Me」もその流れを汲みつつ、ボッサのリズムを取り入れることで新しい表現の地平を切り開いている。バンドの中心人物である加藤修平の深みのある歌声が、他者との関わりにおける微妙な心の動きを巧みに表現し、聴く者を独特の世界観に引き込む。
アルバム『Bout Foreverness』は、NOT WONKの集大成とも言える内容で、既にリリースされている「Asshole」や「Changed」も含め、全7曲が収録される予定だ。これまでの活動で培った音楽性をさらに深め、また新たな方向性を探る彼らの姿勢は、常に進化を続けるアーティストとしての矜持を感じさせる。
Hedigan’s、多様なバックグラウンドから生まれる革新
一方、Hedigan’sはYONCEを中心に、様々なキャリアを持つメンバーが結集したバンドである。彼らはThe Street Slidersのトリビュートをきっかけに結成され、YONCEの存在感あるボーカルを軸に、アコースティックからエレクトリックまで多岐にわたるサウンドを展開している。
YONCEのかつてのバンドメイトである大内岳がドラムを担当し、Gliderで活動する栗田兄弟がギターとキーボードを担うなど、メンバーそれぞれが独自の音楽的背景を持っていることが、Hedigan’sの特異な音楽性を形作っている。彼らの音楽は、単なるバンドサウンドの枠を超え、録音芸術としての側面も強く打ち出している。
アルバム『Chance』に収録された「再生」では、バンジョーやマンドリンを用いたオールディーズ風の音色が新鮮で、彼らが音楽の歴史と現在をつなぐ試みが見て取れる。YONCEの歌詞には、混沌とする社会を皮肉交じりに描きつつ、根底には愛を見つめる眼差しがあり、聴く者に深い感動を与える。
ライブという体験場での真価
NOT WONKとHedigan’s、両バンドの真価はライブでこそ発揮される。NOT WONKのライブは、観客を包み込むような温かな空気に満ちており、一音一音に心を込めて演奏する姿勢が印象的だ。観客との距離を縮めるそのパフォーマンスは、バンドの持つ誠実さを強く感じさせる。
一方、Hedigan’sのライブは、まるで音楽の冒険に出かけるような感覚を観客に与える。彼らのステージは、実験的でありながらもどこか懐かしさを感じさせるサウンドで満たされ、観客を異次元の音楽体験へと誘う。YONCEのカリスマ性あふれるパフォーマンスは、バンド全体を一つにまとめ上げ、観客を強く引きつける。
いずれのバンドも、音楽を通じて表現することの楽しさと困難さを知り尽くした上で、それでもなお新しい音楽を生み出し続ける姿勢を示している。NOT WONKはその音楽性をさらに深化させ、Hedigan’sは多様なバックグラウンドを活かしつつ新たな地平を切り開く。彼らの音楽は、これからのシーンにどのような影響を与えるのか、非常に楽しみである。
[高橋 悠真]