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2024年12月26日 09時30分

星野源、紅白での楽曲変更に込めたメッセージとは?

星野源の選択:『紅白』での楽曲変更に込めたメッセージ

星野源が12月31日に放送予定の『NHK第75回紅白歌合戦』で披露する楽曲を急遽変更した決定が、大きな話題を呼んでいます。当初予定されていた『地獄でなぜ悪い』から『ばらばら』への変更には、単なる選曲の問題を超えた複雑な背景が絡み合っています。楽曲変更に至った経緯とその背景にある思いを探ってみましょう。

「地獄でなぜ悪い」との複雑な関係性

『地獄でなぜ悪い』は、星野源にとって特別な意味を持つ楽曲です。この曲は彼自身が2012年のくも膜下出血による闘病生活の中で書かれたものであり、彼の個人的な経験と感情が込められています。しかし、曲は同名の映画の主題歌としても知られており、その映画を監督した園子温氏には性加害疑惑が報じられています。この事実が、楽曲を紅白の舞台で披露することへの批判を呼び起こしました。

楽曲自体に罪はないとする意見も多くありますが、社会的な背景を考慮したときに、曲の選択が意図せぬ影響を与える可能性があることを星野側も否定しませんでした。そのため、紅白制作チームと協議の末に曲を変更する決断をしたのです。

音楽の力と社会的責任の狭間で

今回の決定は、音楽の力とアーティストとしての社会的責任の狭間で揺れる現代のミュージシャンたちが直面する難題を象徴しています。星野源が選曲に込めた思いは「いま苦しい時代を生きる方々を勇気づけてほしい」というものでしたが、同時に二次加害にあたる可能性を考慮しなければならない現実に直面しました。

音楽は時に、個人の感情を超えた大きな影響力を持ちます。特に紅白歌合戦のような国民的イベントでは、アーティストの選択が社会全体に及ぼす影響を慎重に考慮する必要があります。星野源はその責任を真摯に受け止め、意図と真逆の影響を与える可能性を回避するために決断を下したのです。

キャンセルカルチャーとアーティストの表現の自由

楽曲変更の背景にあるのは、昨今のキャンセルカルチャーの影響も無視できません。社会的な問題に関与する作品やアーティストが批判の的になることが増えている中で、表現の自由と社会的責任のバランスをどう取るかは、クリエイターにとって大きな課題となっています。

多くのファンが「楽曲に罪はない」と訴える一方で、批判の声が上がる理由も根深いものがあります。音楽プロデューサーの松尾潔氏が指摘するように、選曲に対する疑問の声は、NHK自身が性加害問題に対して厳しい姿勢を取っている中で、なぜこの楽曲を選んだのかという疑問に集約されています。

星野源が歩むこれからの道

『紅白歌合戦』で披露される『ばらばら』は、星野源の新たな決意を示す楽曲となるでしょう。彼の音楽がこれからも多くの人々に勇気と感動を与え続けることを期待しています。星野源の選択は、アーティストが社会とどのように対話するべきかという問いを投げかけているのかもしれません。

[田中 誠]

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