静岡県鈴木知事が語る「復」の意味—リニア計画の課題も明かす
「復」の漢字が示すもの—静岡県の鈴木知事が語る復興と再出発
令和6年を振り返るにあたり、静岡県の鈴木康友知事は「復」の漢字を選んだ。この一字に込められた意味は、能登の震災被災地の復興への願いと、政治の舞台への自らの復帰が重なる。さらに、米国でのトランプ氏の再登場も関連づけた選択だという。だが、この漢字が示すのは単なる過去の出来事ではなく、未来への希望と挑戦の象徴でもある。
リニア新幹線計画の試練—未解決の地質問題
一方で、静岡県が直面している課題の一つとして、リニア中央新幹線の地質調査がある。JR東海は、静岡県内での調査を進める予定だったが、わずか10メートルで中断せざるを得なかった。調査ボーリングの途中で地質の脆弱性に直面し、泥水による機器の故障が原因とされている。
この調査の中断は、かつての反リニアの姿勢を貫いた川勝平太前知事の「呪い」と揶揄されることもある。しかし、実際には静岡の地理的特性がもたらす根本的な課題が背後にあるのだ。南アルプスの地層は、複雑で脆弱なため、調査には非常に慎重なアプローチが求められる。
静岡の未来と知事のビジョン
鈴木知事は、リニア計画と自然環境の保全を両立させることを模索している。彼の目標は、静岡の豊かな自然を維持しながら、リニアの利便性を活用した地域経済の活性化を図ることだ。「静岡はアウトドアファンにとっては楽園のような場所」と彼は語り、今後は二拠点生活を提案することで、都市と自然が共存する新しい生活スタイルの普及を目指す。
知事という現代のリーダー像
地方自治体の知事たちは、まさに現代の殿様として、住民の生活を左右する重要なポジションにある。彼らは、地域の特性を活かし、独自のビジョンで地域を導く存在だ。静岡の鈴木知事もまた、政治家としての経験と地元への深い愛情から、そのリーダーシップを発揮している。
知事たちの背景は様々で、政治家から転身した者、民間出身者、官僚からの転身など、多様な経歴を持つ。例えば、群馬県の山本知事は、エンタメ的発想で県の魅力を高めようとしており、広島県の湯崎知事はビジネスマインドを重視した行政運営を行うなど、それぞれの個性が地域の発展に寄与している。
リニア工事の行方と地域の未来
リニア新幹線の工事が進む中で、静岡県としての立場は微妙だ。県民の水資源と環境の保全を重視しつつ、利便性の向上を図るには、さらなる調整と合意形成が必要だ。鈴木知事の「復」の字には、そうした地域の課題を克服し、新しい時代に向けた復興と成長への意志が込められている。
[山本 菜々子]