『ユニコーンオーバーロード』の評価とJRPGの2024年の動向
2024年、JRPGの再興と評価の陰影:『ユニコーンオーバーロード』の功績と不遇
2024年のゲーム業界を振り返ると、やはりJRPGの躍進が際立った年だったと言えるでしょう。特に話題となったのは、アトラスとヴァニラウェアが手掛けた『ユニコーンオーバーロード』と『メタファー:リファンタジオ』の二作です。それぞれが古き良きゲーム体験を現代に蘇らせ、プレイヤーに深い感銘を与えました。しかし、賞レースの結果を見ると、そこには不思議な陰影が存在します。
しかし、そんな成功にもかかわらず、年末のゲーム賞レースでは『Golden Joystick Awards 2024』でノミネートなし、『The Game Awards 2024』でも「Best Sim/Strategy Game」の1部門にノミネートされたのみで、受賞は逃しました。受賞の有無はもちろん一つの評価基準ですが、ユーザーや批評家の間で高い評価を受けていたにも関わらず、こうした結果に終わったことは、少々不思議に思えるところです。
一方で、同じくアトラスが手掛けた『メタファー:リファンタジオ』は、賞レースでその存在感を大いに示しました。こちらは『Golden Joystick Awards 2024』と『The Game Awards 2024』の双方で最優秀作品賞にノミネートされ、いくつかの部門で受賞を果たしています。特に「Best Narrative」「Best Art Direction」においては、他の高評価作品を抑えての受賞となり、その評価が確かなものであることを証明しました。
では、なぜ『ユニコーンオーバーロード』は賞レースで振るわなかったのでしょうか?その一因には、表彰される部門の特性や、作品が持つ独自の色合いが適切に評価されなかったことが考えられます。『ユニコーンオーバーロード』は、1990年代の名作シミュレーションRPGの重厚な雰囲気や戦術性を継承し、懐かしさと新しさを兼ね備えたゲーム体験を提供していました。これが、より幅広い観客に訴求するのが難しかったのかもしれません。
『メタファー:リファンタジオ』は、アトラスの人気シリーズからの伝統を引き継ぎ、「プレスターンバトル」や「カレンダーシステム」などの独特なシステムを融合させ、より広い層に訴求することに成功しました。これが、賞レースでの成功にも繋がった要因の一つでしょう。
また、Googleの「Year in Search: 検索で振り返る 2024」においても、『ユニコーンオーバーロード』は日本国内の検索急上昇ワードにランクインしており、その存在感は決して小さくありません。日本国内での人気は、やはりその懐かしさと新しさを融合したゲームデザインが、多くの日本のプレイヤーに響いた結果でしょう。
このように、『ユニコーンオーバーロード』と『メタファー:リファンタジオ』は、どちらも2024年のJRPGを代表する作品であり、その成功と評価には異なる側面があります。JRPGの持つ独特の世界観やシステムは、世代を超えて多くのプレイヤーに愛され続けていることを改めて示した年でした。ゲーム業界におけるこうした動きは、今後もさらに多様なタイトルが登場し、プレイヤーに新たな体験を提供するであろうことを予感させます。
[田中 誠]