ビズリーチ調査が示す!転職と企業の新たな役割とは?
キャリアの岐路で求められる転職と企業の新たな役割
近年、日本のビジネスパーソンにとって、キャリア形成の選択肢として「転職」がますます重要なものとなっている。ビズリーチの調査によれば、約7割のビジネスパーソンが「現在所属している企業では希望のキャリアを築けない」と感じており、その多くが転職を視野に入れているという。この背景には、労働市場の流動性が高まる中で、個人が自らのキャリアを能動的に設計しなければならない現代の働き方がある。
調査結果は、20代から50代までの各年代のキャリアに対する考え方を明らかにしている。20代は幅広い経験を積むことを重視し、30代は専門性の深耕に注力。40代と50代は管理職としての経験やスペシャリストとしての役割を重視している。しかし、これらの希望を現在の職場で実現できないと感じる人が多いことが、転職を考える理由となっている。
さらに、ビズリーチWorkTech研究所の友部博教所長は、「転職を前提にキャリアを形成するビジネスパーソンが増えている」という現状を指摘する。企業が従業員のキャリアパスに対する透明性を高め、成長機会を提供することが求められている。
企業に求められる新たな採用戦略
一方で、企業側も優秀な人材の確保に苦心している。特に、「応募者が少ない」「知名度が低い」「ミスマッチが多い」といった採用の課題が浮き彫りになっている。ここで竹村俊助氏は、「採用活動は恋愛のようなもの」という視点を提唱する。つまり、企業はまず自社を知ってもらい、信頼を得て、最終的に「好きになってもらう」ことで、採用候補者に選ばれる必要があるというのだ。
企業が採用活動において成功するためには、単なる求人情報の発信に留まらず、経営者自身がメディアとしての役割を果たすことが重要である。経営者が自身の言葉で企業のビジョンや理念を語り、候補者に共感を与えることが求められる。竹村氏は、過去の実績を語ることで信頼を築き、未来のビジョンを示すことで候補者の心を掴むことが重要だと強調する。
企業は自らを選んでもらうために、差別化を図る必要がある。例えば、企業の持つノウハウや業界に関する情報を発信し、候補者との接点を増やすことが効果的である。これは、企業が選ばれるための「魅力的な履歴書」を作成するプロセスに他ならない。
まとめると、現代のキャリア形成においては、個人の転職活動と企業の採用戦略が密接に関係している。ビジネスパーソンは自らのキャリアを能動的にデザインし、企業はそのキャリアの舞台として選ばれる努力をしなければならない。企業が優秀な人材を確保するためには、経営者自らがビジョンを語り、候補者にとって魅力的な未来を描けるような採用活動を展開することが求められる。これにより、企業は競争力を持ち続け、ビジネスパーソンは自らのキャリアを充実させることができるだろう。
[伊藤 彩花]