名古屋スタイルが全国に!エスカレーター新ルールの波及
名古屋発、エスカレーターの新たな乗り方が全国に波及
エスカレーター利用における「片側空け」スタイルが大都市を中心に定着している中、名古屋市が新たな一歩を踏み出しました。2023年10月に施行された条例は「立ち止まって乗ること」を義務付け、これが「名古屋スタイル」として全国に広がりつつあります。2024年9月の調査結果によると、市内のエスカレーター利用者の93.3%が立ち止まって利用しており、条例施行前の2022年と比べて14.6ポイント増加しました。
名古屋スタイルの背景と広がり
エスカレーターでの「片側空け」文化は、都市によって異なる習慣があります。大阪では1967年ごろ、阪急電鉄のアナウンスで右側立ちが始まり、東京では1989年ごろから自然発生的に左側立ちが定着しました。この文化の違いは、地域ごとの歴史や交通システムの発展に深く根ざしています。
名古屋市では、エスカレーターでの事故防止を目的に、両側に立ち止まることを促進しています。この取り組みは、エスカレーターの安全性を高めるだけでなく、社会全体の意識を変える一助となっています。特に、名古屋市の「なごやか立ち止まり隊」の活動や、地下鉄伏見駅でのAIセンサーを使った実証実験など、啓発活動が奏功しています。これらの取り組みが、他の都市へと広がる可能性を示唆しています。
ポスターによる啓発と行動経済学の視点
この調査の結果、名古屋市では立ち止まる人が多いとのこと。特に大阪出身の学生が「大阪の人は歩く側に立ち止まると舌打ちされることもある」と話すように、地域による文化の違いが際立っています。このような試みを通じて、名古屋におけるエスカレーター利用のマナーが評価されていることがわかります。
エスカレーターの安全性と未来への展望
エスカレーターでの移動は、実は「トリセツ違反」とも言われています。日本エレベーター協会の指摘によれば、エスカレーターは歩行を前提としていないため、規定に従い「立ち止まって乗る」ことが推奨されています。名古屋市が進める条例は、この「トリセツ」を守る動きの一環として、重要な役割を果たしています。
今後、エスカレーターの利用に関する法律や規制が強化される可能性もありますが、重要なのは市民一人ひとりの意識です。名古屋市の取り組みは、まさに「ファーストペンギン」精神を体現しており、他の都市にもその波及効果が期待されます。
エスカレーター利用の文化は、地域の風土や歴史によって異なりますが、名古屋市のように新たなスタイルを提案することで、より安全で快適な公共交通機関の利用が実現するかもしれません。名古屋スタイルは、今後の都市生活における新たなスタンダードを築く可能性を秘めています。
[松本 亮太]