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2024年11月27日 13時15分

トランプ氏、ケビン・ハセット氏をNEC委員長に再起用!経済政策の新たな展望とは?

トランプ氏、NEC委員長にケビン・ハセット氏を再起用:その背景と今後の展望

2024年11月26日、次期米大統領としてのドナルド・トランプ氏は、国家経済会議(NEC)の委員長にケビン・ハセット氏を起用することを発表しました。この決定は国内外の経済政策に大きな影響を与えることが予想されます。ハセット氏は、2017年から2019年にかけて第1次トランプ政権下で経済諮問委員会(CEA)の委員長を務めた実績があり、再び重要な役割を担うこととなります。

ハセット氏の経歴と影響力

ケビン・ハセット氏は、ミルケン研究所のマネジングディレクターやスタンフォード大学フーバー研究所の特別研究員として活躍してきました。また、アメリカン・エンタープライズ研究所のリサーチディレクターや米連邦準備理事会(FRB)の上級エコノミストを務めた経歴を持ち、経済学者としての評価は高いものがあります。

ハセット氏は、1999年にジェームズ・K・グラスマン氏との共著「ダウ3万6000ドル:来るべき株式市場の上昇から利益を得るための新戦略」で注目を集めました。同書で、ダウ工業株30種指数が約5年後に3万6000ドルに達する可能性を予測しました。実際に同指数は2021年に初めて3万5000ドルを付け、その予測が大きな話題となりました。

彼の経済学的視点は基本的に保守的ですが、2012年にはニューヨーク・タイムズに寄稿した小論で「長期失業の危機」に言及し、政府に対して総合的な「再雇用政策」の立案を呼びかけるなど、政策提言において柔軟性を示しています。

トランプ政権と経済政策の未来

トランプ氏の政権下での経済政策は、減税や規制緩和を基軸とし、経済成長の促進を目指すものでした。第1次政権期間中にハセット氏は、これらの政策の立案と実行に深く関与し、特に法人税の減税や個人所得税の引き下げに貢献しました。これらの政策は短期的には経済成長を促しましたが、長期的な影響については賛否が分かれています。

次期政権においても、ハセット氏の再起用は、トランプ氏が再び経済成長を最優先課題とし、同時にインフレ対策や国際貿易の見直しに取り組む意向を示していると考えられます。特に、米中貿易摩擦や新たな貿易協定の締結は重要な課題となるでしょう。ハセット氏の経済予測能力と政策立案の経験は、これらの複雑な問題を解決するための強力な武器となる可能性があります。

経済学者としてのハセット氏の展望

ハセット氏がNEC委員長として再び重要な役割を担うことで、アメリカ国内外の経済政策にどのような変化がもたらされるのか、注目が集まります。彼の過去の実績や予測能力は、現在の複雑な経済環境においても有効であると期待されています。特に、彼が提唱した再雇用政策のアイデアは、今後の労働市場の改善に寄与する可能性があり、長期失業者支援の新たな枠組みを形成するかもしれません。

また、ハセット氏のバックグラウンドには、学術的な視点と実務的な経験が融合しており、これが新たな経済政策の設計にどのように反映されるのかも興味深いところです。彼の経済学的視点は、伝統的な保守主義に基づきつつも、必要に応じて柔軟に対応することが可能であることを示しています。

ハセット氏の起用は、トランプ氏が経済政策において確固たる基盤を築く意図を持っていることを示唆しています。彼の再起用は、過去の成功を踏まえた上での新たな挑戦であり、今後のアメリカ経済にどのように影響を与えるのか、ますます注目が集まります。政策の実行過程で直面するであろう課題に対して、ハセット氏の柔軟な対応力と深い経済知識がどのように活かされるのか、期待が高まるところです。

[高橋 悠真]