能登地震から1年、防災強化へ!半島地域の課題とは?
能登地震から学ぶ「半島防災」の重要性と課題
能登半島地震から1年が経過し、その教訓をもとに「半島防災」の機運が高まっています。三方を海に囲まれ、平地が少ない半島地域は、災害時に特有の問題を抱えることが多く、これに対する備えが急務となっています。地震による道路や港湾の損壊により、被災地へのアクセスが遮断され、多くの住民が孤立する事態が発生しました。このような状況を踏まえ、半島振興法の改正を通じて防災対策の強化が進められています。
半島地域の特性と防災の課題
半島地域はその地理的特性から、災害時に孤立しやすいという問題があります。能登半島地震では、石川県の輪島市や珠洲市などで多くの人々が孤立し、通信インフラの障害や停電、断水が長期化しました。これらの問題は、他の半島地域でも同様に危機感を共有することとなり、紀伊半島でも同じ懸念が示されています。
このような背景から、半島振興法の改正では「防災強化あっての産業振興」という新たな視点が導入されました。インフラ整備や小規模発電設備の導入、生活環境の整備など、ハード・ソフト両面での対策が進められています。特に、地域に分散したインフラの強化は、災害時の迅速な復旧に不可欠です。
情報共有の壁とシステム改善の必要性
能登地震では、被害情報の共有がスムーズに行われず、全容把握までに数日を要しました。これは、多くの自治体が抱える課題であり、災害時の情報共有システムがうまく機能しない原因の一つです。システムへの入力が職員にとって大きな負担となり、現状では避難所の運営や被害確認といった業務が優先されてしまうため、情報共有が後回しになることが多いのです。
この課題に対して、防災科学技術研究所は、実動機関が直接現場から情報を入力できる新たなシステムの開発を進めています。試験運用の結果、迅速な情報集約が可能となり、今後さらに改善が期待されています。しかし、消防や海上保安庁などまだ一部の機関にはこのシステムが提供されておらず、全体的なルート開拓には時間がかかっています。
耐震補強の必要性と地方との格差
住宅の耐震補強は、防災対策の要と言われています。阪神大震災や能登地震の事例からも、耐震性の不十分な建物が多くの犠牲者を出す原因となったことが明らかです。現在、国は耐震化率の向上を目指していますが、地方においては都市と比べて格差が広がっており、能登地域でも耐震化率が全国平均を下回っています。
耐震化が進まない背景には、高齢化や資金面での問題があります。補助制度の利用が進んでいない地域も多く、これが耐震化の遅延を招いています。地震後の調査では、旧基準の建物が5割以上全半壊した一方で、新基準の建物は1割程度にとどまっており、耐震化の重要性が再度浮き彫りになりました。
防災対策の未来を見据えて
半島地域に住む人々が安心して暮らせる環境を整えることは、地方創生や過疎化対策にも繋がります。住民一人ひとりが防災意識を持ち続けることも、地域の未来を支える大切な要素です。これからも、持続的な対策と学びを重ね、次世代に安心を引き継いでいくことが求められます。
[田中 誠]