カシオ、サイバー攻撃にも負けず「サ時計」で新市場開拓!サウナ愛好家に注目の新製品
カシオのサイバー攻撃と新製品「サ時計」の同時進行:時計産業の変革と挑戦
カシオ計算機は、サイバー攻撃によってクリスマス商戦に暗雲が垂れ込める中、サウナ愛好家向けの新製品「サ時計」を発表するというユニークな一歩を踏み出しました。このニュースは、同社の革新への挑戦と、時計産業全体の動向を示唆する興味深い事象を浮き彫りにしています。
10月初旬、カシオはサイバー攻撃を受け、部品の調達や出荷に関するシステムが一時的に停止しました。この影響で、同社の売上高は130億円の減少が見込まれ、特にG-SHOCKの新製品「GMC-B2100」の発売遅延は、最大商戦期であるクリスマスに影を落としています。サイバー攻撃の影響は11月には主要システムの復旧を果たしましたが、依然として供給不足が続いており、完全な回復は来年1月以降と見込まれています。
こうした厳しい状況下で、カシオは新たな市場開拓を進めています。その一環として発表されたのが、サウナ専用の腕時計「サ時計」です。この製品は、サウナブームに乗じて、サウナ愛好者、通称「サウナー」の増加を背景に開発されました。サウナでの適切な時間管理を可能にし、心身のリラックスを促す「ととのい」をサポートします。サウナ内で使用可能な耐熱仕様で、独自の12分計機能を持ち、サウナで体を温める→冷水で冷やす→外気浴で休憩するというサイクルをより快適に楽しめるよう設計されています。
この「サ時計」の開発は、新規事業プログラムの一環であり、G-SHOCKで培った技術を応用しつつも、新たな市場ニーズに応える形で進められました。耐熱電池や透湿性の低い樹脂を使用することで、高温・高湿のサウナ環境に対応しています。これにより、サウナ内での時間管理が難しいというサウナーの悩みを解決することが期待されています。
カシオのこの動きは、伝統的な時計産業における革新と多様化の必要性を示しています。特にコロナ禍を経て、消費者のライフスタイルが変化し、サウナのようなリラクゼーションへの需要が高まっている中で、新たなニーズに対応する製品の開発は重要です。また、デジタル化が進む中で、製造業はサイバーセキュリティ対策の強化が避けられない課題となっており、カシオの事例はその重要性を改めて示しています。
一方で、カシオが新製品を発表するタイミングと市場への投入方法も注目に値します。「サ時計」は、12月2日から応援購入サービス「マクアケ」で販売開始され、消費者の反応を見て事業化を検討するというスタートアップ的アプローチを採用しています。これは、製品の市場適合性を迅速にテストする手法として、従来の大企業には見られなかった柔軟な姿勢を示しています。
総じて、カシオのサイバー攻撃と新製品「サ時計」の発表は、企業が直面するリスクとチャンスを象徴しています。サイバー攻撃の影響を受けつつも、新しい市場の開拓に意欲的に取り組む姿勢は、カシオだけでなく、製造業全体が取り組むべき課題と方向性を示しています。サウナ市場への参入がどのように成功を収めるかは未知数ですが、カシオの挑戦は、伝統的な時計メーカーにおけるイノベーションの重要な一例となるでしょう。
[伊藤 彩花]