齋藤飛鳥が挑む『【推しの子】』実写化、アイドルの光と影を描く!
齋藤飛鳥が語る「アイ」と「アイドル」の葛藤:実写版『【推しの子】』キャスティングの裏側
2024年の冬、日本のエンタメ界に新たな話題が提供される。その舞台は、人気マンガ『【推しの子】』の実写化。主演を務めるのは、元乃木坂46のセンターとして活躍した齋藤飛鳥さんだ。しかし、彼女が「完璧で究極のアイドル・アイ」を演じるまでには、自分自身との深い対話があった。
齋藤飛鳥さんは、最初のオファーを受けた際、「私には無理」と即座に感じたという。彼女自身も乃木坂46で東京ドームに立ち、国民的アイドルグループのセンターを務めた経験がある。しかし、その実績をもってしても「完璧で究極のアイドル」を演じることには大きなプレッシャーを感じた。「アイは特別なアイドルであり、自分にはその役が務まらない」と感じたのだ。
アイドルとしての自己認識と「完璧なアイ」の間で
齋藤さんがアイの役を一度断った背景には、彼女自身のアイドルとしての自己認識が影響している。齋藤さんはインタビューで、「完璧で究極のアイドル」という言葉に違和感を覚えたと語っている。彼女自身は、常に「完璧」であることを求められるアイドル像に対して、自分がどれだけ応えられるのかを自問してきた。アイドルとしての経験があるからこそ、そのギャップを明確に感じたのだ。
齋藤さんにとって、「アイを演じる」ということは、もう一度自分の中のアイドル像と向き合うことだった。彼女は、「本当の自分」と「求められるアイドル」との間で葛藤を抱えてきた経験から、「アイ」というキャラクターの複雑な内面に共感を覚えたと語る。ファンの期待に応えるために「もちろん!」と返答するアイの姿は、齋藤さん自身の経験と重なる部分があった。
再びオファーを受けた際、井元隆佑プロデューサーが「ひとりの人間としてのアイの心の動きや暗い一面をしっかり描きたい」との趣旨を説明したことで、齋藤さんは「腑に落ちた」と感じ、役を引き受ける決意を固めた。彼女はこの作品を通じて、アイドルに求められるキャラクターの裏側にある「本当の自分」を見つめ直す機会を得たのだ。
「嘘」がもたらす愛と安定
アイドルとしての齋藤さんは、しばしば自分のキャラクターを模索し続けてきた。彼女は、自分が本当に「好き」なものを公言することが、ファンに喜ばれることを発見し、次第に「イキる」ことの重要性を感じたという。洋楽に対する彼女の愛や、「UKロックしか聴かない」といったスタンスは、彼女の個性を際立たせた。一方で、それが彼女のアイドルとしてのキャラクターの一部となり、ファンとの間に一種の共感を生み出した。
齋藤さんは、「嘘が愛」という境地に到達することはなかったが、アイのように「求められる姿」を保つことの重要性を理解している。彼女は、相手の期待に応えられなかったとしても、それを受け入れることで自分のメンタルを保ってきた。アイドルとしてのキャラクターは、後から自分についてくるものだと気づいた彼女は、「キャラ作り」に対して自然体でいることが、より安定した精神状態を生むと感じている。
アイドルとファンの新しい関係性
齋藤さんはまた、アイドルとファンの関係性が変わってきたことにも触れている。彼女の11年間の活動の中で、ファンの推し方が多様化し、「推しは最高だけど、他の子も最高だよね」という姿勢が増えたと感じている。この変化が、アイドルグループ内での競争を和らげ、より平和な環境を作り出したと考えている。
齋藤さんは、アイ役を通じて、アイドルという職業が持つ複雑な側面を再認識した。アイドルとしての経験を活かし、彼女は「完璧で究極のアイドル」としてのアイを演じることに挑戦する。この実写化プロジェクトが、アイドルの光と影を描き出し、視聴者に新たな視点を提供することを期待している。
齋藤飛鳥さんにとって、アイは単なる役柄以上の存在だ。彼女がこの役を通じて自分自身をどう表現し、どのようなメッセージを伝えるのか、今後の彼女の演技に注目が集まる。『【推しの子】』の実写版が公開されることで、アイドルという存在の新たな一面が浮き彫りにされることだろう。
[田中 誠]