Netflixで甦る『阿修羅のごとく』!是枝裕和が描く四姉妹の絆
新しい時代の“阿修羅のごとく”、リメイクの舞台裏で輝く四姉妹の物語
Netflixが2025年に配信を開始するドラマシリーズ『阿修羅のごとく』は、日本のホームドラマの歴史に名を刻む向田邦子の同名作品を、是枝裕和監督が新たに蘇らせたリメイク作品です。完成報告会で明かされた撮影舞台裏のエピソードは、出演者たちの人間関係の深さと作品の魅力を余すところなく伝えてくれました。
1979年の日本を舞台に、四姉妹が父親の愛人問題をきっかけに織りなす人間ドラマ。長女の三田村綱子を演じる宮沢りえ、次女の里見巻子を演じる尾野真千子、三女の竹沢滝子を演じる蒼井優、そして四女の竹沢咲子を演じる広瀬すずという豪華キャストが集結しました。それぞれ異なる価値観と生き方を持つ姉妹が、時に対立しながらも、互いの存在に支えられて成長していく様子が描かれます。
是枝監督が明かす撮影現場の“阿修羅”たち
完成報告会に寄せられた是枝監督のビデオメッセージでは、撮影現場での和やかな雰囲気が伝わってきました。「宮沢さんと尾野さんだけだと収拾がつかない。それを蒼井さんがうまくまとめていただいていた感じ。(末っ子役の)すずが一番しっかりしていたと思う(笑)」というコメントからは、4姉妹の役を超えた絆が感じられます。まるで現場そのものがホームドラマのように、笑いと交錯する人間模様が繰り広げられていたようです。
宮沢りえは「本番以外はずっとしゃべっていて(笑)」と語り、監督の寛大さに感謝の意を表しつつ、実の妹ができたかのような親密さを感じていたと述べました。尾野真千子もまた、ムードメーカーとして現場を盛り上げる一方で、時に「収拾が付かなくなっていた」と笑いながら認め、本番に向けての空気作りだったと釈明する場面もありました。
広瀬すず、末っ子としての充実感と成長
末っ子の咲子を演じた広瀬すずは、共演者たちとの関係を「とても心地のいい空間」と表現し、過去に例を見ないほどの楽しい撮影現場だったと述べています。「何もかもさらけ出せて、ずっとしゃべって。撮影でしゃべりすぎて笑いすぎて、私すごい痩せたんですよ」というコメントは、楽しさのあまり時を忘れてしまう様子を伺わせます。
広瀬が「末っ子なので甘えさせていただいた」と笑顔で語る一方で、蒼井優は「“強制真千子”で、真千子と呼ばせていただいた」と、尾野が後輩に呼び捨てを要求するエピソードを披露し、チームワークの良さを物語っています。このようなエピソードからも、キャスト間の信頼関係と親密さが作品の完成度に寄与していることが明らかです。
向田邦子作品への敬意と新たな挑戦
八木康夫プロデューサーは、向田邦子との過去の仕事を振り返りつつ、今回のリメイク企画に込めた思いを語りました。向田作品に対する深い敬意を抱く是枝監督が手掛ける本作は、1979年の日本社会を舞台にしながらも、その時代を超えた普遍的なテーマを扱っています。家庭内での人間関係や個々の幸せの追求といったテーマは、現代の視聴者にも強く響くことでしょう。
是枝監督は「向田ファンとして一度はチャレンジしたかった脚本。それが日本のトップ女優によって実現しました。作品として素晴らしいものになった」と述べ、完成した作品に自信を見せました。現代の視点を融合させ、往年の名作を新たな時代に再構築するこの試みは、単なるリメイクに留まらない、深みのある人間ドラマとして再び脚光を浴びることでしょう。
是枝監督の新作『阿修羅のごとく』は、2025年1月9日にNetflixで配信される予定です。果たして、現代の視聴者にどのようなメッセージを届けるのか、その展開に期待が高まります。
[鈴木 美咲]