トヨタが中国市場で電動車戦略を加速!ホンダ・日産の苦戦を打破できるか?
日系自動車メーカー、中国市場での逆風を乗り越えられるか?
トヨタの販売増加の要因として挙げられるのは、ハイブリッド車(HV)やEVを含む商品ラインアップの拡充です。トヨタは11月の販売台数が前年同月比7%増の17万6,000台となり、電動車の比率が52.3%に達しました。この戦略は中国政府の車両購入補助政策の拡充とも合致し、販売増に寄与しました。しかし、ホンダと日産はそれぞれ28%、15.1%の減少を記録しており、苦しい状況は続いています。
中国市場でのEV普及と日系メーカーの対応
中国市場では、国内のEV最大手である比亜迪(BYD)が11月に約68%増の50万6,804台を販売し、2カ月連続で50万台を超える販売実績を達成しています。BYDの成功は、中国市場でのEVの需要の高さを如実に示しています。日系メーカーがガソリン車での優位性を誇っていた時代は過ぎ去り、今やEV市場での競争が激化しています。
このような状況下で、日系メーカーがどのように対応するかが鍵となります。トヨタは電動化を進める一方で、マレーシア市場での新モデル発表においても積極的な姿勢を見せています。SUV「カローラクロス」のマイナーチェンジを行い、HVにスポーツタイプ「GRスポート」を追加するなど、多様な選択肢を提供する「マルチパスウェイ」戦略を進めています。
一方、ホンダはマレーシア市場に初めてEVを投入する計画を発表しました。SUV「e:N1」を来年に発売する予定で、電動パーソナルモビリティー「モトコンパクト」や「空飛ぶ車」の「eVTOL(イーブイトール)」といった先進的な技術にも取り組んでいます。これらの動きは、ホンダが今後の市場においてどのように競争力を高めていくかを示すものです。
マレーシアでの日系メーカーの取り組みと可能性
マレーシアでは、クアラルンプール国際モビリティーショー(KLIMS)2024において、日系メーカーが新たな電動車のモデルを発表しました。日産は「e-POWER」を搭載したSUV「キックス」の新モデルを披露し、マレーシア市場での存在感を高めようとしています。価格帯を低めに設定することで、より多くの消費者にアプローチする狙いです。
また、マレーシアの国民車メーカーであるプロドゥアも手頃な価格のEVを市場に投入しようとしており、国内でのEV普及を促進する計画を進めています。このような動きは、マレーシア市場が電動車の重要な拠点となる可能性を示唆しています。
日系自動車メーカーにとって、アジア市場全体での電動化の波にどのように対応するかが問われています。トヨタ、ホンダ、日産はそれぞれ異なる戦略を展開しており、その成果が今後の市場での成長を左右することでしょう。
電動化への対応を迫られる中、日系メーカーは新たな技術やモデルを投入することで、再び競争力を取り戻そうとしています。しかし、競争相手も強力であり、戦略の成否はまだ見えていません。時代の変化に対応しつつ、革新を進める力が求められています。果たして日系メーカーはこの大きな挑戦を乗り越え、再び市場での存在感を示すことができるのでしょうか。未来がどう展開するか、目が離せません。
[中村 翔平]