経済
2024年12月16日 23時50分

日立製作所、新社長に徳永俊昭氏就任決定:デジタル革新の申し子がグローバル展開を加速

日立製作所、徳永俊昭氏の社長昇格を発表:デジタル革新の申し子、創業の地からグローバルリーダーへ

日立製作所が、新たな時代の幕開けを告げるトップ人事を発表しました。徳永俊昭副社長が2025年4月1日付で社長兼最高経営責任者(CEO)に昇格することが決定しました。徳永氏は、日立製作所の創業の地である茨城県日立市の出身で、同地出身者が社長に就任するのは初めてのことです。このニュースは、地元日立市にとっても大きな喜びをもたらしています。

会見で徳永氏は、「デジタルをコアとする真の日立を通じて、社会イノベーション事業のグローバルリーダーを目指し、取り組んで参ります」と力強く意気込みを語りました。徳永氏の昇格は、日立がデジタル領域をより強化し、グローバル展開を加速するための重要な一歩と位置付けられています。

地元に根ざした経歴:幼少期から日立の影響を受けた徳永氏

徳永氏の人生は、まさに日立と共に歩んできたと言えるでしょう。1967年3月に生まれた徳永氏は、父親が日立製作所の工場で働いていたため、日立の社宅で育ちました。病院やバスといった日立グループのサービスに囲まれ、幼少期を過ごした彼は、「身近にあって社会を支える存在だった」と当時を振り返ります。

水戸一高、東京大を経て1990年に日立製作所に入社した徳永氏は、その後、情報システム部門を中心にキャリアを積み、2021年には副社長に就任。彼のリーダーシップの下、米IT企業グローバルロジックの約1兆円に及ぶ買収を成功させ、同社のデジタルトランスフォーメーション(DX)事業を大きく成長させてきました。

デジタルの申し子が描く未来:新事業を加速し、持続的成長を実現

日立製作所は、モノのインターネット(IoT)を基盤とした「ルマーダ」を中心に、デジタルと社会インフラを結ぶ事業を拡大しています。ルマーダ関連事業は2025年3月期に、売上高全体の約3割に当たる2兆6500億円を見込んでおり、徳永氏は「ルマーダをより成長させ、新規事業を加速させることで持続的な成長を実現させたい」と述べています。

過去の苦境を乗り越え、事業構成を見直すことで業績を回復させた日立は、送配電や鉄道部門に注力。特に送配電事業は、AI向けのデータセンターを中心に電力需要が高まり、事業を拡大しています。また、鉄道事業も欧州や北米を中心に成長を続け、24年度の売上高は初めて1兆円を超える見込みです。デジタル技術を活用した効率化を図ることで、さらなる成長を目指す日立において、徳永氏のリーダーシップが期待されています。

日立市と共に:共創プロジェクトで地域活性化

日立市と日立製作所は、徳永氏の発案で「共創プロジェクト」の包括連携協定を結びました。これにより、地域と企業が一体となって新たな価値創造に取り組むことが期待されています。小川春樹市長は「本市に縁の深い徳永副社長の昇格を歓迎しています」と祝福のコメントを発表し、市民の期待を一身に受ける形となりました。

[佐藤 健一]

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