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2024年12月26日 23時30分

イスラエルの“UNRWA活動禁止法”、ガザの未来を揺るがす影響とは

イスラエルの“UNRWA活動禁止法”、ガザの未来を揺るがす影響とは

ガザの生命線を断つ可能性

UNRWAはガザにおける医療、教育、食料支援などを担う重要な国際機関です。清田明宏保健局長の指摘によれば、ガザの外来患者の約半数はUNRWAによって診療を受けており、避難所として機能している学校の約半数もUNRWAが運営しています。こうした支援が途絶えることは、ガザの人々にとって命の危険を意味します。イスラエル側と交渉が成立しなければ、UNRWAの職員は外交特権を失い、活動そのものが危険に晒されることになります。

しかし、UNRWAの活動停止がもたらす影響は、単に医療や教育の問題にとどまりません。支援が停止されれば、多くの人々が基本的な生活を維持する手段を失い、さらに不安定な状況に追い込まれることになります。このような状況が続けば、ガザの住民たちは絶望的な状況に立たされるでしょう。

国際社会の反応とその背景

UNRWAへの資金拠出の停止は、イスラエルの疑惑を受けてのものでしたが、カナダやオーストラリア、日本が資金拠出を再開し、国際社会は徐々に支援を再構築しつつあります。ただし、最大の資金拠出国であるアメリカは依然として資金拠出を停止しています。このような国際的な対応は、一部にはUNRWAの信頼性に対する疑念を払拭しきれていないことを示しています。

一方で、岩屋毅外相がイスラエルのサール外相との電話会談で示したように、日本はパレスチナでの人道支援が継続される環境の確保を強く求めています。これは、単に国際的な人道支援の問題にとどまらず、地域の安定と平和に直結する問題として捉えられています。

UNRWAの活動とその重要性

UNRWAは約1万3,000人の職員を抱え、ガザおよび周辺地域で医療センターや教育施設を運営し、子どもたちにポリオワクチンを提供するなど、多岐にわたる支援を行っています。しかし、昨年10月のガザでの戦闘開始以降、UNRWAの職員が320人以上も犠牲になっています。これは、現地での活動がいかに危険であるかを如実に示しており、それでもなお活動を続ける職員たちの献身的な姿勢が伺えます。

食文化研究家の長内あや愛さんが指摘するように、UNRWAの職員自身が危険な状況下で活動しているにもかかわらず、彼らの活動が止まることで、パレスチナの人々を救う手段が失われるという現実があります。彼らの活動がどれほど大切であるかを理解する上で、現地の状況を知ることが重要です。

柔軟な対応が求められる

株式会社トーチリレー代表の神保拓也さんは、パレスチナでの支援が止まることは絶対にあってはならないとしつつ、イスラエル側が主張するUNRWAの疑惑について、黒か白かの二分法で判断するのではなく、グレーな状況でも活動が継続できるような柔軟性のある組織運営を提案しています。

[高橋 悠真]

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